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2012.03/08(Thu)

詩の世界 

詩の世界 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS)詩の世界 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS)
(1996/04)
高田 敏子

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中学生向けに書かれたようであるが、大人が読んでも間違いなく楽しい。本書は1972年に上梓された。余が手に入れたのが1992年の第30刷。いまでもソフトカバーとなって普通に売っている。全国学校図書館協議会選定図書である。

詩とはなにか。一度でも詩を書こうと思ったひとは考えるはずである。しかし、なにが詩であるか、詩をどのように味わえばいいか、そもそも、詩をどう感動すればいいのかすら、なかなか分からないのではなかろうか。余もこの年まで、幾編も詩を読み、詩を書いてきたがつゆぞ感動したことはなかった。余は詩の感動を知るには、その時がこなければダメだと思っている。どんなに優秀な教師でも詩の感動を教えることは出来ない。愛と同じである。言葉で愛は教えられない。感じるしかない。こればかりは出会いしかない。

著者はこう書く。「詩は、さびしいときにできると、よくいわれますが、さびしいという感情が、人の心を謙虚にするからでしょう。そのときはじめて、風のことばが聞こえたり、冬の樹が寒さにたえる姿を見せて、励ましてくれるでしょう」

また、比喩の項では幼稚園児の文集の「ボクの足がサイダーを飲んじゃった」という例を引き、「しびれる」ということばを知らないがためにこういう表現が生まれた。ことばに頼りすぎると、表現としてはつまらなくなる例をあげる。

詩と文章の違いを、最初普通の文章を記し、それを徐々に詩的装飾を加えていくことにより詩にするという試みも行われている。

本書は詩人の目というものを教えてくれる。同じ一つの物体でも、様々な角度から見ることにより、哲学的思考を加える。詩は芸術である。実用的行動は芸術ではない。芸術とは感情の表現であり、そのためには実用を超えた、すなわち、哲学的思考が必要不可欠なのだ。

本書が中学生向けとされ、大人が手に取らないようなことがあれば、それは大いなる文化的損失である。


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《参考・関連図書》

詩とはなにか―世界を凍らせる言葉 (詩の森文庫)詩とはなにか―世界を凍らせる言葉 (詩の森文庫)
(2006/03)
吉本 隆明

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世界の名詩を読みかえす世界の名詩を読みかえす
(2002/12)
葉 祥明、東 逸子 他

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詩とは何か―詩論の歴史詩とは何か―詩論の歴史
(2003/07)
星野 徹

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2012.02/09(Thu)

対談 現代詩入門―ことば・日本語・詩 

対談 現代詩入門―ことば・日本語・詩 (詩の森文庫)対談 現代詩入門―ことば・日本語・詩 (詩の森文庫)
(2006/03)
大岡 信、谷川 俊太郎 他

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久しぶりに凄い本を読んだ。詩に対する真摯な分析が成されている。谷川俊太郎はファンだが、大岡信というひとの文章は初めて読んだ。

はじめに、いま詩はどんな状況にあるか、という分析から始まっているが、30年前の話なので、1980年代当時と読み替えた方が良い。当時は、同人雑紙の変質が論じられている。額を寄せ合って作っていた同人雑紙が、いまは電話と郵便でやりとりされているというのだ。現代では、それはインターネットにとってかわられている。コミュニケーションのあり方としては、当時もいまも変わらないような気がする。現在は詩投稿サイトなどもあるから、同人的詩の発表の場が、よりオープンで手軽なものになったことは違いあるまい。

また、当時は詩人の才能がある人間が、他の分野に流れるということを問題にしている。映像や小説などその他の表現である。これは、現在はなおさらの気がする。選択肢は増え、詩の需要などはなきに等しいのではないか。

どんな詩を読んできたか、という題では、二人とも外国の詩をよく例に出す。当時はまだ短歌や俳句など、日本の伝統的な詩歌も残っていたが、これらの呪縛から逃れたのは、外国から多くの詩が入ってきたからだという。また、朗読の話しでは、外国の詩は読みやすい。日本の詩は読みにくい。なぜなら、日本には朗読の様式が存在しないからである。という。俳句とかはリズムがあり、音読の様式がある。しかし、自由詩にはない。もし、様式が出来るのだとすれば、これからということか。

朗読についての考察も秀逸である。朗読されることにより、一義的な解釈になってしまい、本来文字が持つ多義的な想像力が抑制されるというのだ。

連詩についても、日本の「和」を問題にし、本来の和はギリギリまで対立した後に出てくる和であるのに、いまの和というのは適当に妥協して対立を避けるような和であり、そんなものは和ではない、と厳しく断じる。

若い人たちの心情吐露の詩作に関して、話し言葉はアームズライフという狭い範囲に共感を呼ぶものという。しかし、詩が本来持っている力、書き言葉には、虚空に舞い上がる感覚がある、という。身近な世界を論じる風潮は近年ますます強くなっていると思われる。むしろ、虚空に舞い上がる作品などというものを最近は見たことがない。谷川の作品はときどき虚空に舞い上がる。


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《参考・関連図書》

ひとり暮らし (新潮文庫)ひとり暮らし (新潮文庫)
(2010/01/28)
谷川 俊太郎

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ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語るぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語る
(2010/06/26)
谷川 俊太郎、山田 馨 他

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ひとの最後の言葉 (ちくま文庫)ひとの最後の言葉 (ちくま文庫)
(2009/03/10)
大岡 信

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2012.01/19(Thu)

長田弘・いわさきちひろ詩画集 肩車 

長田弘・いわさきちひろ詩画集 肩車長田弘・いわさきちひろ詩画集 肩車
(2004/10/28)
長田 弘

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詩画集と銘打ってある。
詩と言うよりは絵本なのだが、絵本にしては内容が中年の述懐で子供向けではない。うむ。大人の絵本か。詩も絵も面白い。
ふと思ったのが、この絵も詩のようなのである。詩のような絵とは説明的でない絵と言うことだ。絵とはそういうものなのであるが、より抽象画のように強調されている絵である。例えばP19などそうだ。さらっとした表現が読者の想像をかき立てる。
絵とは逆に、この詩はわかりやすい。わかりやすすぎるほどにわかりやすい。むしろエセーの感すらある。非常に説明的だ。だから、詩が分からないと思っている人は本書を読んでみるといいかもしれない。しかし、詩らしくない詩なので注意が必要だ。

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《参考・関連図書》

長田弘詩集 (ハルキ文庫)長田弘詩集 (ハルキ文庫)
(2003/03)
長田 弘

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詩の樹の下で詩の樹の下で
(2011/12/03)
長田 弘

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空の絵本 (講談社の創作絵本)空の絵本 (講談社の創作絵本)
(2011/10/12)
長田 弘、荒井 良二 他

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2012.01/05(Thu)

夜のミッキー・マウス 

夜のミッキー・マウス (新潮文庫)夜のミッキー・マウス (新潮文庫)
(2006/06)
谷川 俊太郎

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谷川俊太郎の詩集である。単行本は高いけれど、文庫本は安いから買いである。今まで詩集は何冊も読んだが、これは初めて面白いと思った。何が面白いか言葉で説明するのは無粋なような気がする。詩は言葉で出来ているが、言葉ではないことが分かった。

言葉を使った文芸には、詩の他に小説などがある。詩と小説は別物であると思う。小説と俳句がべつものであるのと同じことだ。ここで分からなくなるのは、何が違うかと言うこと。小説と俳句の違いは明瞭だ。小説のように長い俳句はない。が、小説のように長い詩ならば可能なのではなかろうか。逆に、詩のように短い小説もありえる。詩の特徴として改行しまくる、というのがあるが、改行は詩の本質的な特徴とまでは言えない。

という感じで、詩について学んでみようと思った。ちなみに、村松恒平はネットなどに溢れるただ心情を綴っただけの素人の詩をこういう詩で評する。これは余の好きな詩の一つで、詩作のときはいつも気にしていることでもある。村松はアイロニーのつもりで、この詩を詠んだのだろうが、名作だと思う。

どんどん
改行して
言葉をぶっちぎれば
それなりに
不思議な
気持ちに
なりもするが
いったい
こんなものが



なのかい?


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二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9)二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9)
(2008/02/20)
谷川 俊太郎

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ぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語るぼくはこうやって詩を書いてきた 谷川俊太郎、詩と人生を語る
(2010/06/26)
谷川 俊太郎、山田 馨 他

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谷川俊太郎詩選集  1 (集英社文庫)谷川俊太郎詩選集 1 (集英社文庫)
(2005/06/17)
谷川 俊太郎

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