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2014.08/17(Sun)

病院ビジネスの闇~過剰医療、不正請求、生活保護制度の悪用 


病院ビジネスの闇~過剰医療、不正請求、生活保護制度の悪用 (宝島社新書)病院ビジネスの闇~過剰医療、不正請求、生活保護制度の悪用 (宝島社新書)
(2012/10/09)
NHK取材班

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すごい本。いままで自分が不振に感じていたことの裏付けが書かれていた。文句なしお勧めであるし、病院に行ったことがある人、また行く予定がある人は絶対に読んだ方が良い。国民健康保険を払っている人も読んだ方が良い。

日本の医療制度は社会主義である。国が国民から金を徴収して、一律の基準で医者払う。つまり、凄腕の医者も、ぺーぺーも、同じ種類の治療をすると、同じだけの金額がもらえるのである。そこに、がっつり不正が入り込む。

よく、教育と医療は自由主義にしてはいけないと言うが、自分に言わせれば、医療だけは社会主義にしてはいけないのである。

現在、普通の人の自己負担は三割である。しかし、生活保護受給者は全額国負担である。だからどういうことが起きるか。医者は不必要な治療をしまくるのである。ある生活保護者は90種類もの病気にされ、三年間で2000万円の保険料が医療機関に流れている。本人は至って健康にもかかわらずだ。

もっと非道いケースでは、全くの健康体にもかかわらず、診療報酬点数の高い心臓カテーテル手術を施され殺されている。

歯医者などは皆さんにも経験があると思う。行くたびに「虫歯の恐れがある」として永遠に治療をされる。

老人介護も壊滅的である。自分で食事が出来、歩ける老人を、医者や看護師が言いくるめて、無理矢理寝たきりにさせて、胃瘻にする。そうすることによって診療報酬を稼ぐのである。

このような不正、及び国の財政悪化にともない、診療報酬の引き下げが行われている。そうするとなにが起きるか。まじめな医者がまず潰れる。潰れないまでも、不正がよりはびこる。負のスパイラルである。

解決策は医療の社会主義政策をやめることだ。そうしなければ、国民は病院にいったり、検査に行ったりするだけで、ありもしない病名を付けられ、無駄な治療され、害悪のある薬を飲まされ、本当の病人にされてしまう。そうしなければ病院が儲からないからである。

何度も言うが、もし国が国民を健康的に暮らさせようとするならば、医療の社会主義政策をやめるしかない。もしくは、徹底的に社会主義にする。すなわち、医者の給料を定額にする。そうすると、怠ける医者が出てくると諸賢はいうだろう。しかし、健康体の人間を病気にしてくれるより、なにもしない医者の方が遙かにましではないか。

愚かな政党や人民は自由主義を否定する。しかし、自由主義を否定すると言うことは、己自信の、また自分たちの民度を貶しているに他ならない。セーフティネットは必要だが、それ以上の国家の介入は必ず腐敗をもたらす。

アメリカは盲腸の手術一回で200万円も取られる。というが、自分はここ10年病院になど一度も行っていないのに、払った保険料は500万円以上である。盲腸一回の方が遙かに安い。

また、想像に難くないと思うが、健康保険制度などがあるから、みな油断して病気になる。病気になっても安く医者が診てくれる、と思うからである。しかし、我が国で病気になったら最期だと思った方が良い。本書にも出てくるが、ある医者は患者のことを「餌食」だと言う。余程注意して、善良の医者にかからなければならない。

日本最大の医療機関が知事に5000万円渡したとかで盛り上がった。なぜ、人の病を癒したいと思うものが政治に5000万円渡さなければならない。この一点からも我が国医療制度がおかしいことがよく分かるではないか。

本書は別の角度からの医療崩壊も描かれている。株式が規制で儲からなくなったブローカー達が病院ビジネスに走っているのだ。昔は「医は仁術」と言われていた。それをもじって「医は算術」とかいう。しかし、もはやそれを通り越して、「算術は医」となってしまった。

くれぐれも健康には気をつけ、医療自由化を掲げる政党に投票すべし。もっとも政治家連中が公約を守るかは相当に疑わしいが。
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2014.07/11(Fri)

非正規公務員という問題――問われる公共サービスのあり方 

非正規公務員という問題――問われる公共サービスのあり方 (岩波ブックレット)非正規公務員という問題――問われる公共サービスのあり方 (岩波ブックレット)
(2013/05/10)
上林 陽治

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近年増え続ける非正規公務員の問題を詳説している。臨時教師、夫人相談員、ケースワーカー。などの実態を取り上げ、非正規公務員という問題を考察している。現在の問題点を端的に言うと、正規公務員の非正規公務員への置き換え=定数内職員の定数外化というベクトルが働いている。

公務員というのは我々の税金で雇っているのだから、雇う我々としては少しでも安い方が良い。しかしながら、雇われる公務員もまた我々なのであるから、いくら安い方が良いとは言っても犬猫のようには行かぬのである。
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2014.07/09(Wed)

日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点 

日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点
(2008/02)
山岸 俊男

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久しぶりに読んだきわめて興味深い本。今はやりの安全安心ではなく、根本から社会が人間にもたらす安心を分析したもの。文化人類学視点から出発し、社会と人間の習性を分析し、東アジア社会と欧米社会を対比して「日本の安心はなぜ消えたか」を詳解する。

まず、日本人は本当に集団主義者か、日本人は契約書などを交わさないで他人を信頼するが、本当に他人を信頼しているか、という問いから始まる。

いろいろな心理実験の結果、日本人は欧米人よりも個人主義であるし他人を信頼しないしないという結果が出た。この辺の心理実験の結果は本書を参考にされたし。

では、なぜ、他人を信頼しない個人主義者である日本人が、集団主義的であり、契約書を交わさないか。答えは、日本の社会が閉鎖社会であるから、である。村のような閉鎖社会を想像して欲しい。その中で村人は悪さができない。悪い噂が広まるだけで死活問題である。よって、心のレベルはさておき、振る舞いのレベルでは村人に信頼されるように振る舞う。

人間には「認識の基本的エラー」という習性がある。いい人そうに振る舞っている人間を見ると、人間はその人間を「いい人」と認識してしまう。キャバクラの女に惚れるのもその原理だ。向こうは商売でやっているのに、認識の基本的エラーが商売でやっているという認識を曇らせてしまう。

では、この村人がひとたび村から出たらどうなるか。もう自分の安心を保証する村はないのである。疑心暗鬼に陥り、他人を信頼しない、個人主義的な思想になる。これが現在の日本の姿だという。今の日本は閉鎖社会から解放社会への転換期にあるゆえ、不安が人心を支配しているのである。
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2014.06/28(Sat)

ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 


ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社プラスアルファ新書)ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社プラスアルファ新書)
(2012/04/20)
適菜 収

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前書をさらに過激にわかりやすくしたもの。こっちの方がおもしろいかも知れない。ゲーテのほうがパンチが少ない。だが、本書はその分ちょっと難しくなっている。まぁちょっとだけだが。本文の中にさりげなく読書案内や立ち居振る舞いの仕方などが出てくる。参考になる。

最後の方に選挙についての話が出てくるが、これが秀逸。適菜氏の本は全部、世界はキリスト教に洗脳されているという論旨である。キリスト教こそが民主主義を生んだという理論で、民主主義が人類普遍の崇高なる価値などと信じているのは神の審判を信じているのと同じことだという。

彼は民主主義を信奉する人々を民主教信者という。では、民主主義を普遍的絶対の価値と信じている民主教の信者の見分け方を教えてくれる。選挙に行かなければいけないと洗脳されている人間は間違いなく民主教信者であり、棄権することに後ろめたさを感じるものも民主教信者であろう。B層は民主教信者が多いので、率先して選挙に行き、また選挙に行くことが偉いと感じている。

では、投票とはなにか。あれは民主教の儀式だという。投票という儀式を繰り返して、民主教を布教していく。「投票に行きましょう」とか言っている連中は「教会に行きましょう」と言っているに等しい。

さもありなん。民主主義の価値を信じないものは、間違えても投票なんか行かないのだから。
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2014.06/24(Tue)

ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 


ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)
(2011/08/19)
適菜 収

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ゲーテの数々の言葉を引用しながら現在の日本の病巣を指摘する。キーワードはB層である。しかし、このB層というのはいつの時代にもいる。が、現在ほどB層が力を持ってしまった時代というのはなかなかない、という分析。B層を一言でいうと、ポジティブな馬鹿ということになる。ポジティブな馬鹿な政治に参加したがり、ルサンチマンに駆られて人間にとって価値高いものを否定していく。わからなくもない。人間がABCDに綺麗に分かれるわけではない。だれでもB層の部分を持っているだろう。その意味では本書は一種の自己啓発本かもしれない。
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2014.01/01(Wed)

戦争学 


戦争学 (文春新書)戦争学 (文春新書)
(1998/12)
松村 劭

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挑発的なタイトルであるが、中身は至ってまとも。戦史が紹介されている。そこから、闘いの原則、ひいては、人類の性質のようなものまで引きだそうとしている。下手な社会学などよりもよほど現実味がある。

この本を読んで一つ気づいたことは、人間は全く合理性ではないということだ。続刊の新・戦争学も買った。


オススメ度: レベル4
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《参考・関連図書》


「戦争学」概論 (講談社現代新書)「戦争学」概論 (講談社現代新書)
(2005/09/17)
黒野 耐

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戦争学原論 (筑摩選書)戦争学原論 (筑摩選書)
(2013/03/13)
石津 朋之

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新・戦争学 (文春新書)新・戦争学 (文春新書)
(2000/08)
松村 劭

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

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2013.11/26(Tue)

日本をダメにしたB層の研究 


日本をダメにしたB層の研究日本をダメにしたB層の研究
(2012/10/19)
適菜 収

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B層とは小泉郵政解散の時に得票ターゲットとされた人たちのことだ。IQが低くてマスコミに踊らされやすいという。しかし、著者はまさに今の日本を造ってきたのがこのB層だという。例えば、B層はコスパが大好き、とか、本物を理解できないとか……。なるほど、これを読んでいると笑ってしまう反面、自分もいかにB層であったかがわかる。では、どのようにすれば愚かなB層を脱することが出来るかを説く。歴史を学び、過去の偉人を学ぶことだという。

例えば、数百年前の偉人の言葉などに触れて「へぇ、随分昔の人なのにいいこと言うねぇ」などと感心しているのは典型的なB層だという。このB層の根本的な間違いは現在を生きている人間が過去に比べ賢いという錯覚に陥っていることだという。時間の先端を生きているところで、我々は決して賢くはない。むしろ、過去のある時代の方が賢明な人間が多い場合もある。その謙虚さを失っては永遠にB層から脱することは出来ない。

多分著者に言わせれば、この本を読んで喜んでいるあたりが典型的なB層なんだろうな、という気がする。


オススメ度: レベル4
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《参考・関連図書》


日本を救うC層の研究日本を救うC層の研究
(2013/07/05)
適菜 収

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世界一退屈な授業 (星海社新書)世界一退屈な授業 (星海社新書)
(2011/12/22)
適菜 収

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バカを治す (フォレスト2545新書)バカを治す (フォレスト2545新書)
(2012/11/08)
適菜 収

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テーマ : オススメの本の紹介 - ジャンル : 本・雑誌

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2013.01/06(Sun)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる 

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
(2011/02/09)
佐々木 俊尚

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キュレーションという言葉は最近出来たらしい。キュレーターという言葉がもとになっている。キュレーターとは、博物館や美術館に、どのような展示物を並べるか企画をする人である。

今のネット時代、情報はあふれ、情報の海の中から、なにが自分に必要な情報であるのか見つけるのが難しくなっている。だからこそ、信用のおける情報発信者を見つけて、自分に必要な情報を選んでもらうという話である。

そこから、新たなマーケティングやライフログ、SNSなどの話が広がるのであるが、余はそもそも、情報とは本当に必要なものなのかを問いたい。

ここからは余の意見。人々はそれほど情報を求める必要があるのだろうか。自分に必要な情報を集め、より人生を豊かに知識を増やし選択肢を増やす、というが、まず、情報を必要以上に求めるということがすでに人生の喜びを損ねているのではないだろうか。生きるのに、そんなにたくさんの情報は必要なのだろうか。本当に必要な情報は、いちいち情報を探さなくても、なにが必要であるか分かっているものである。「なにか有用な情報があるのでは?」と目をさらのようにして、この情報の海に飛び込む。飛び込み溺れぬようにキュレーターという浮き輪をつかむ。沖に出れば出るほど、陸地に戻るのは困難になろう。ならば、最初からそんな海に飛び込まねばよい。陸には陸の楽しみがある。海が好きな人は飛び込めばよい。しかし、周りに踊らされて飛び込む必要はない。

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《参考・関連図書》

「当事者」の時代 (光文社新書)「当事者」の時代 (光文社新書)
(2012/03/16)
佐々木 俊尚

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仕事するのにオフィスはいらない~ノマドワーキングのすすめ~ (光文社新書)仕事するのにオフィスはいらない~ノマドワーキングのすすめ~ (光文社新書)
(2011/12/16)
佐々木 俊尚

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決闘 ネット「光の道」革命 (文春新書)決闘 ネット「光の道」革命 (文春新書)
(2012/09/20)
孫 正義vs.佐々木 俊尚

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テーマ : オススメの本の紹介 - ジャンル : 本・雑誌

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2012.09/16(Sun)

日本型リーダーの条件 

日本型リーダーの条件 (講談社文庫)日本型リーダーの条件 (講談社文庫)
(1991/01)
山本 七平

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一つ一つは面白いのであるが、全体としてみると、なんだか寄せ集めてきた論文集のような感じがしないでもない著作。

まず、日本の歴史を語る。まずは日本の倫理観の根底に貞永式目があるという。この貞永式目の相続法に着目して、そこから、日本型の倫理をいろいろと考察する。貞永式目は長子に遺産を残すとは決めていない。相続はもっとも優れた子どもにやるとしている。そして、その相続の目的は、親に考をちゃんと尽くすかどうか。もし、考を尽くさぬのであれば、相続を取り消すことも出来るとある。

つぎに、日本人の金銭感覚を論じる。日本人は金に対して相当敏感だったという。というのも、金以上の、宗教やら、哲学の倫理がないので、金が最上となるというのだ。そこから、日本的資本主義、勤勉主義のようなものが生まれてくる。

物事には本心があるという。ノミにはノミの本心、犬には犬の本心、人間にも人間の本心。では、人間とはどのように出来ているかというと、働いて食うように出来ている。というより、それ意外出来ないのが人間であるので、働いて食うのが本心だ、となる。だから、人間は働かなくてはいけない。忙しくなくてはいけない。ここが無宗教と言われるゆえんかも知れない。

第四章から貞観政要の話しになる。人間の徳とはなにかという話しだ。この徳と権力の関係を分析する。

第五章は論語。しかし、日本人は儒教を読み誤っている、という点から説く。第六章が渋沢栄一。論語つながりなのであろう。ここまでくると、最初の貞永式目の倫理やなにやらがよく分からなくなってしまう。高度な一貫性が保たれているのかも知れないが、書評にこれほど困る書もない。


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《参考・関連図書》

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
(1983/10)
山本 七平

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なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造
(2011/12/07)
山本 七平

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日本人には何が欠けているのか タダより高いものはない日本人には何が欠けているのか タダより高いものはない
(2012/04/04)
山本七平

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テーマ : 本の紹介 - ジャンル : 本・雑誌

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2012.04/13(Fri)

社会科学における人間 

社会科学における人間 (岩波新書)社会科学における人間 (岩波新書)
(1977/06/20)
大塚 久雄

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大塚史学などといわれるものを作り出した、昭和の大学者、大塚久雄の著作。大塚久雄は小室直樹の著作でも度々引用されている。それで興味は持っていたのだが、真面目に読んだのは始めてである。

内容はほとんどプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の解説である。余も以前このブログで書評したが、プロ倫は大変難しい書物ですんなりわかるものではない。この書を読み、改めてプロ倫の言っていることがわかった。誤読していたこともわかった。プロ倫を読む人はぜひ併読されたし。

以前批評したプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
http://tamohito.blog89.fc2.com/blog-entry-197.html

以下はこの書を読んで気づいたヒントである。

偶像崇拝の議論が出てくる。偶像とは、人間が自分たちで作って自分たちで拝んでいるものだ。人間が作り出したものにもかかわらず、偶像は神となる。人間がつくったもの以上の何物かになるのだ。資本主義もそのようなもので、例えば、株券などの何ら実質的価値がないもを人々は上がった下がったで一喜一憂する。つまり、人間は自分たちで作ったものに、自分たちが支配される構図が出来上がるのだ。

よくある誤解のひとつに、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神という題名から、プロテスタンティズムの倫理=資本主義の精神というのがある。が、本書ではこれは全くの別物であるという。むしろ、この表題のミソは、プロテスタンティズムの倫理からかけはなれた資本主義の精神が生まれるというところに重きがおかれている。しかし、この変容に関しては記述が薄いと思われる。確かに理由はわかるのだが。プロテスタンティズムの倫理から世俗的禁欲がうまれ、世俗的禁欲が合理性を増大させ計画性をたかめ、極限まで資本の最大化をはかるというのは納得できるが、一度金儲けがはじまると、宗教的倫理が吹っ飛び金儲けに邁進するようになるという変容がちゃんと説明されていない気がする。本書では徐々に変わってきたというが、その理由が重要だ。おそらく宗教的生活自体が失われたことが要因だと思われる。

プロ倫もこの部分の記述が薄い。もっとも重要なところであるのに。ウェーバーはこの部分で大変重要な指摘をしている。曰く、
「プロテスタンティズムの倫理はどうしても富を生み出す。しかし、富が生み出されると、プロテスタンティズムの倫理は資本主義に変容し、プロテスタンティズムの倫理が失われることになる。プロテスタンティズムの倫理を実践することは、回り回ってプロテスタンティズムの倫理を失わせることになる」

世俗的禁欲は行動的禁欲とも言い換えられる。行動的禁欲とは目的の為に一切をなげうち、目的に邁進すること。そのなかに、いかにすれば目的を達成できるか、合理的計画的な分析が含まれている。これこそが世俗的禁欲なのである。しかし、宗教性が失われると、利潤の追求に世俗的禁欲が使われるようになる。これが資本主義の精神である。

さらに、プロテスタンティズムの倫理下での商売は、少しでも良いものを適正な価格で売ることに意味があった。儲けが目的ではなく、人が欲しがるものを適正な価格で売ることが目的だ。それが隣人愛の実践だからである。そうするとなにが起きるかというと、適当なものをインチキな価格で売っている商人が駆逐される。適性価格が広まるのだ。すると、合理的投資が可能なになり、資本主義を一層おし進めるという仕組みだ。

プロ倫の話はこう結ばれる。宗教的倫理から、これほど営利至上主義の資本主義が生まれるなど信じられないと皆さんは思うかもしれない。しかし、マルクスレーニン主義が中国大陸に渡り中共のようなマルクスレーニン主義とは似て非なるものになった実例をみれば、宗教的倫理が資本主義になるのもうなづけるのではないか、と。

大塚はこの講演で宗教的文化の相違が人間的思考の相違を生み、経済活動の方法の相違を生む、と言いたいようだが、それはおまけ程度にしかなっていない。

とにかく、この書だけを読んでも意味不明なので、プロ倫と資本論とできればロビンソン物語を読むことをお勧めする。


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《参考・関連図書》

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)
(1989/01/17)
マックス ヴェーバー

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社会科学の方法―ヴェーバーとマルクス (岩波新書)社会科学の方法―ヴェーバーとマルクス (岩波新書)
(1966/09/20)
大塚 久雄

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社会科学と信仰と社会科学と信仰と
(1994/04)
大塚 久雄

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2012.03/15(Thu)

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
(2011/11/19)
與那覇 潤

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挑戦的なタイトルであるが、意味はこうだ。何をさして中国かというと、宋代以降の中国の国家形式を指す。宋代以降の中国の国家形式とは、①貴族政治の廃止、②自由貿易、③夜警国家である。

中国は宋代から、貴族が政治を牛耳るのをやめ、皇帝の官僚、即ち科挙に受かったものが政治を行うという、19世紀ヨーロッパをして驚愕せしめた公正性を実現した。イギリスの官僚制は中国を範としたらしい。

そして、自由貿易である。民は移動の自由、経済活動の自由を手に入れた。モンゴル帝国が世界帝国だと言うが、モンゴル帝国は自由経済圏を広げ、安全の変わりに間接税を徴収する国だ。「誰に断って商売してんだゴラ」の世界版である。

夜警国家とは、国家は治安、外交、戦争などのまさに国家でしかできないことを行う小さな政府。別の言い方をすると、その受益者を特定できない業務のみを行うということである。

これの反対が日本である。
日本は階級社会であり政治は武士の世襲制で行われてきた。農家は農家、商家は商家として代々受け継がれるものであった。戦前は大政翼賛となり、戦後は企業社会、終身雇用となり、会社で一家をなしていた。しかし、いまは中国化に向かっているので、なかなか世襲制という社会保障を感じにくいが。

世襲制なので、当然移動の自由、公益の自由はない。

日本は身分制という福祉政策を行っていた。「あんたは百姓だけど、百姓やっている限りその土地は永遠にあんたのものだ」もちろん、売り買いは出来ない。このシステムは明治維新によって破棄されることになるが。

中国人はよく協力な宗族ネットワークを持っていると言われる。ユダヤ人も強力なユダヤネットワークを持っている。それは、公的機関による社会保障がないため、生き延びるには宗族のネットワークを頼るしかなくなった結果だ。日本も3.11のあと、結婚率が増えて、絆だとか言い始めたが、まさに公的救済の限界を人的ネットワークに置き換えたのだろう。

中国がどうして中国化したかというのも色々ある。中国のような広大な平原は、洪水や旱魃や飛蝗によって簡単に生活地域が消滅する。日本のように一所懸命とはいかないのである。

また、どうして明治維新で日本が西欧化に成功し、中国が失敗したかというのも面白い。日本はペリーが来て大砲ぶっ放してあっという間に開国した。しかし中国はアヘン戦争でボロ負けしたあと70年間も清朝がつづいた。この違いはなんだろうか。

日本にとって西欧は魅力的だったが、中国にとって、西欧式の体制などは、とうの昔に実現していたことなので、西欧化の必要性を感じなかったという分析だ。清朝は歴とした郡県制の中央集権国家で、自由貿易が行われている。科挙に受かって官僚になる手だてもある。西欧の自由が魅力として映らなかった。日本は封建制で日本全土に小国家が散らばっている。移動の自由も公益の自由もない。西欧の自由が魅力的に映ったのであろう。

いわゆる近代国家的要素である、法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義、がなぜ生まれたか? 西欧が遅れた地域だからだと説明する。西欧は最後まで貴族社会が残った地域だ。法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義はすべてもともと貴族の権利である。これが、庶民に拡大されたに過ぎない。

よく、西欧は下からの民主主義であり、日本は上からの民主主義だと言われる。西欧は産業化の過程で小金持ちが生まれ、自分たちの代表を議会へ送り込む。だから、金持ちしか投票権がない。そして、徐々に権利が奪われていき、最後は女性に権利が奪われる。日本では権利が分け与えられたと考えるが、実際は、権利を分捕っていったのである。だから、下からの民主主義なのだ。日本では「権利=与えられるもの」と考えるが、西欧では「権利=分捕って金に換えるもの」である。

もちろん、世界が中国化のワード一つで説明が付くほど単純ではない。それも、こういったおおざっぱな分析は対局を掴むのに役立つ。本書は中国のことを知るにも、我が国を知るにも有益である。


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《参考・関連図書》

中国嫁日記 (二)中国嫁日記 (二)
(2012/03/10)
井上 純一

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「中国の正体」を暴く (小学館101新書)「中国の正体」を暴く (小学館101新書)
(2012/02/01)
古森 義久

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「中国模式」の衝撃―チャイニーズ・スタンダードを読み解く (平凡社新書)「中国模式」の衝撃―チャイニーズ・スタンダードを読み解く (平凡社新書)
(2012/01/15)
近藤 大介

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2012.01/26(Thu)

地方自治体と企業誘致―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言 

地方自治体と企業誘致―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言地方自治体と企業誘致―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言
(2008/08)
不明

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今週は二冊紹介している。今週の二冊目。

大阪堺市のシャープ誘致を論じた書である。税制面やインフラ面など様々な角度から、企業誘致と地方自治の関係、住民にとって企業誘致のメリット・デメリットなどを分析している。どちらかというと、本書はシャープの誘致に否定的な立場である。その他の自治体の企業誘致などと比較して、堺市のシャープ誘致は妥当かどうか論じている。上記の書とは違い、堺市に関係がないひとでも、日本の企業と行政のあり方、市民の関わり方、経済の動きなどがドラマチックに読めて面白い書である。


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《参考・関連図書》

企業立地と地域再生―人材育成と産学官連携による企業誘致戦略 (コミュニティ・ブックス)企業立地と地域再生―人材育成と産学官連携による企業誘致戦略 (コミュニティ・ブックス)
(2008/07/09)
財団法人東北産業活性化センター

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体制維新――大阪都 (文春新書)体制維新――大阪都 (文春新書)
(2011/11/01)
橋下 徹、堺屋 太一 他

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橋下主義(ハシズム)を許すな!橋下主義(ハシズム)を許すな!
(2011/11/08)
内田樹、山口二郎 他

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2012.01/26(Thu)

企業立地と地域再生―人材育成と産学官連携による企業誘致戦略 

企業立地と地域再生―人材育成と産学官連携による企業誘致戦略 (コミュニティ・ブックス)企業立地と地域再生―人材育成と産学官連携による企業誘致戦略 (コミュニティ・ブックス)
(2008/07/09)
財団法人東北産業活性化センター

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今週は二冊紹介する。今週の一冊目。

これは東北地方を中心に分析しているもの。おもに、九州との比較が多いかも。本書は資料的性格が強い。相当細かく東北地方の企業誘致の情報が網羅されているので、東北地方の企業湯地に感心がある方は読んでみていいかもしれない。

レベル あまりにも限定的な内容なので評価不能

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《参考・関連図書》

インベスト神奈川―企業誘致への果敢なる挑戦 (B&Tブックス)インベスト神奈川―企業誘致への果敢なる挑戦 (B&Tブックス)
(2006/12)
松沢 成文

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企業立地行動の経済学―都市・産業クラスターと現代企業行動への視角企業立地行動の経済学―都市・産業クラスターと現代企業行動への視角
(2007/03)
フィリップ マッカン

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地方自治体と企業誘致―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言地方自治体と企業誘致―大阪・堺市のシャープ誘致にみる問題点の分析と提言
(2008/08)
不明

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2012.01/12(Thu)

民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 

民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書)民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書)
(1992/01/21)
なだ いなだ

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民族が宗教とはどういう意味かというと、民族も宗教もどちらも未来へ向けて夢を語るところだという。もともと、人類には生き延びるための部族という単位の集団は存在したが、民族という単位は近代国家の産物であり、幻想だというのだ。しかし、そのようなことを言えば、部族はおろか家族もフィクションということになる。いまさらB・アンダーソンやE・ボブズボウムを持ち出すまでもなく、この世が作為的であることなどは自明である。(子作りは自明であるが、子供だけはどんなものが生まれてくるか分からない。しかし、どんなのが生まれるか分からないと言うことを我々は分かっている)

そもそも、集団などはゲゼルシャフトにすぎない。下界の変化によってゲマインシャフトの形にいかようにも変わるのである。本書は日本の歴史を振り返り、どのようにして民族意識を培ってきたかを説く。部族という単位を民族にするために何が必要なのかを考察する。まずインフラ、人々がどこへでも行けるようにする。次に通信、そして身分制の廃止。言語の統一、これらをやれば、大体どこも民族となる。さらに神話づくり。民族が神話を持つという点は実に宗教っぽい。

では、フィクションだから実在しないかと言えばそんなことはない。この本を読んでいて、「国家学のすすめ」という本を思い出した。その中には、国家は心の中に実在する、と書かれている。しかし、それは嘘だ。国家がフィクションだろうがなんだろうが、実在するのである。いま、目の前にパソコンが載ってる机があるのと同じく実在するのだ。例えば、誰かを殺せば国家権力に拘束されて裁かれる。これなどは、実在のよい例ではなかろうか。逆から言おう。今目の前に存在する机も、今は机として存在している。しかし、それはフィクションなのだ。この机の脚をもいで天板を割ってしまえば、もう机は存在しない。国家も机も色即是空空即是色である。余の好きな歌を紹介する。

ひきよせて むすべば柴のいおりにて とくればもとの 野はらなりけり


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《参考・関連図書》

権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)
(1974/03/28)
なだ いなだ

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TN君の伝記 (福音館文庫 ノンフィクション)TN君の伝記 (福音館文庫 ノンフィクション)
(2002/09/20)
なだ いなだ

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神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話 (岩波新書)神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話 (岩波新書)
(2002/09/20)
なだ いなだ

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2011.12/08(Thu)

台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア 

台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア (講談社選書メチエ)台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア (講談社選書メチエ)
(2010/05/07)
丸川 哲史

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余は昔に蒋介石の伝記を読んだのと、小林よしのりの台湾論を読んだだけで、あとは全然台湾について知らないし、興味もなかった。そもそも、日本人は台湾をグアムやハワイのような観光地程度にしか考えていないのではないだろうか。余もそんな感じで、外交や歴史や民族について深く考えるなどということはしなかった。だが、ひょんなことから、台湾に関わることとなり、なにも知らぬのはまずかろうと、本書を読んでみた。

なかなか目から鱗である。というのも、台湾はグアムやハワイと違い、独立国であるにもかかわらず、国として承認されていない、こっちからみるとなんとも宙ぶらりんな国であるにもかかわらず、あの中国大陸の正統の国家なのである。台湾とは通称であり、本当の名前は中華民国である。中華民国とは孫文を祖とし、清王朝を倒し、第二次対戦では大日本帝国をも撃退したあの国である。第二次大戦後、中国の覇権を握るも悲しいかな中共に敗れ明智天下となり、台湾に落ちる。中共が中華民国の息の根を止めようとしたところ、朝鮮戦争が勃発。生きながらえることになるが、大陸本土を奪還することを志向が本来の国是のはずである。だがしかし、昨今は独立せず、統一せず、武力行使せず、とまったくわけのわからない国になってしまった。これが余には大戦後の日本に被って見えてしかたがない。国の存在意義が、生存ということになると、その中身は当然、経済合理性がトップとなる。「我が国は経済発展を志向し、国民一人当たり所得の増加を目指す」などと言えばちょっとは格好がつくかもしれないが、イコール、エコノミックアニマルにすぎない。我が日本の将来は、エコノミックアニマルからどのようにヒューマンビーイングに進化するかではないか、と思っているが、台湾もまさしく同じ問題、それも、日本よりも新しいがゆえにわかりやすい状況で直面しているのではなかろうか。

アメリカやヨーロッパで生きる意味、政治の意味、果ては、会社の存在意義までが問い直されているのは、このような国家の存在が自明のものとなってしまったがゆえの意味の不明さによるところがあるのだろう。日本は敗戦という契機に、強制的に国家の意味を喪失させられたが、台湾は内発的に国家の意味の喪失をさせようとしている気がする。それがいかに無意識であろうと、彼らが自ら国家の意思を捨てることに間違いはない。どうして意思を捨てるのか。捨てた方が合理的なのか? 国益に叶うのか? 否、国家の意味をどこにおくかにより、なにが国益なのか、なにが合理的なのかは変わってくる。その意味でも、余には彼らが国家の意味を捨てることを選択したとしか思えないのである。


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《参考・関連図書》

新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361)新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361)
(2011/10/06)
萱野 稔人

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パル判事――インド・ナショナリズムと東京裁判 (岩波新書)パル判事――インド・ナショナリズムと東京裁判 (岩波新書)
(2011/02/19)
中里 成章

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リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話
(2011/07/29)
ウルリッヒ・ベック、 他

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2011.07/06(Wed)

日本のルールは間違いだらけ 

日本のルールは間違いだらけ (講談社現代新書)日本のルールは間違いだらけ (講談社現代新書)
(2009/10/16)
たくき よしみつ

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日本のルールは間違いと言うよりデタラメであると、この国で暮らしている人なら一度ならず思ったはずである。

本書は、ローマ字、漢字の書き順、交通ルール、性風俗、公職選挙法などを例に挙げて、この国のデタラメぶりを喝破する。

なぜ、これらのデタラメがまかり通っているのか。最終章の公職選挙法などわかりやすい。市民から見たデタラメでも、当事者から見ると非常に合理的なのだ。中には、古くなってしまったルール、面倒くさいという理由のルール、もある。なぜ変わらないのか? 変えないのか? 変えるのは面倒くさいのである。一度そのルールで動いてしまうと、そのルールが例え不都合であっても、変えるのはパワーがいる。国民ではなく当事者にとってメリットがある不都合なルールなどはなおさら変えずに、合理性を強弁する始末だ。しかし、これは人間の習性でもある。ウェーバーは役人の習性として、形式合理性が実質合理性を凌駕する、と言ったが、なにも役人だけじゃない。人間はほとんどの場合そうだ。役人は改善しても何も給料が変わるわけではないので、例としてわかりやすい。

余の私見を言わせてもらえば、それは視野の問題だ。例えば、鉄道のゲージなどはJRは狭軌である。これを標準軌に変えるだけで大きなメリットがある。明治以降変えるチャンスはいくらでもあった。しかし、財政的な理由で行われない。長期的に見れば、また、今になって思えば、財政的にも標準軌に途中で切り替えておいた方が良かったのに。もちろん、もっとも良い方法は採用する時点でベストを選ぶことである。それは難しいから、軌道修正という手がある。だが、なかなか軌道修正が出来ない。自動車の左側通行もそうである。世界中で車を売る今、もし日本が右側通行であれば、自動車会社の利潤はもっと多かったはずだ。外車ももっと安く買えたはずだ。長期的な視野に立てば、おそらく、標準軌にして右側通行にした方が良いのだろう。だが、明日から「右側通行です」「ゲージ改良工事のため1ヶ月間本線は不通になります」などとやられたら、ふざけるな、と皆思うはずだ。そんなこんなで原発も止められなかった。原発のツケは一度に払わされたからわかりやすい。左側通行、狭軌、などはダラダラとツケを払っているので痛みがわかりにくいだけか。


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《参考・関連図書》

スナップ写真のルールとマナー (朝日新書 063)スナップ写真のルールとマナー (朝日新書 063)
(2007/08/10)
日本写真家協会

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日本再生のルール・ブック―ナチュラル・ステップと持続可能な社会 (海象ブックレット)日本再生のルール・ブック―ナチュラル・ステップと持続可能な社会 (海象ブックレット)
(2003/07)
高見 幸子

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日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた
(2003/03)
元木 昌彦

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2011.06/27(Mon)

貝と羊の中国人 

貝と羊の中国人 (新潮新書)貝と羊の中国人 (新潮新書)
(2006/06/16)
加藤 徹

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余は中国が好きである。本書は中国の歴史から、中国人のものの考え方を論じた書である。十八史略や四書五経などの予備知識があると余計に楽しめる。なくてもそれなりに面白いだろう。

貝と羊とは、それぞれ中国文明を形成した民族的な象徴である。中国は殷と周が合わさったものだ、というのが本書の基本。東に住んでいた殷人は農耕民族である。農耕民族は地面から植物、虫など、生命が次々沸いてくることから、地域密着型の多神教になりやすい。日本人もしかりである。一方、大草原や砂漠を移動しながら暮らす遊牧民族は、空から大きな力が降ってくる、と感じ一神教になる。周人は唯一普遍の神である「天」を信じた。

殷人の暮らす東方の地は肥沃で豊であり、殷人は目に見える財貨を好んだ。金属貨幣がなかった当時は、子安貝が貨幣として使われていた。有形の物財、宝(寶)・貢・貨・買・資・贅、などに貝が含まれるのは殷人の気質を表す。

周人の祖先は北西の遊牧民族である。遊牧民族は羊と縁が深い。衣類から生贄まで羊である。貨幣や物財の少ない彼らは無形の善行を好む。それが天に通ずるものであると信じる。羊文化の彼らの価値観は、美・善・義・羨、などである。

この羊の文化をリファインしたのが殷人の孔子である、というところが、中国文化のキモなのかも知れない。二つの気質が中国人の中に同居している。しかし、これは我々日本人も同様である。農耕民である日本人は江戸時代の儒教の感化で羊の文化に洗脳された。中国人と日本人は似ている、というのも、本書の重要な論点である。

このほかにも、中国人が考える功と徳の違い、士大夫層の役割、孔子や孟子の言う聖人は政治家であり、西洋文化であるキリスト教とは考えを異にする、中国人の人権意識の低さは神話の時代にさかのぼる、などなど、雑学としても楽しめることが満載である。


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《参考・関連図書》

漢文力 (中公文庫)漢文力 (中公文庫)
(2007/08)
加藤 徹

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本当は危ない『論語』 (NHK出版新書)本当は危ない『論語』 (NHK出版新書)
(2011/02/08)
加藤 徹

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怪の漢文力―中国古典の想像力 (中公文庫)怪の漢文力―中国古典の想像力 (中公文庫)
(2010/10/23)
加藤 徹

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2011.05/25(Wed)

日本を破滅から救うための経済学 

日本を破滅から救うための経済学日本を破滅から救うための経済学
(2010/07/29)
野口 悠紀雄

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前著の、世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのかが総論的な論説であったのにたいし、本書は各論的な物。まず、第一章二章で、昨今問題にされているデフレについて述べる。しかし、昨今言われているデフレは本質的な問題ではない。では、本質的な問題とは何か、というのは前書の話。本書の三章以降では本質的問題の具体例を挙げて対処方法を論じる。

前書が革命的に面白かったのに対し、本書がそうでもない理由は、処方箋が月並みだからである。政治学を囓ったことがある人間なら知っているようなことばかりだ。例えば、教育の問題。税の問題。年金の問題。個別事例ならもっと詳しく問題点を論じているものは多い。だから、本書は前書と併せて読まなければいけない。前書を読めば、いわゆる個別の問題がいかなる理由でもって問題なのであるのかが、もう一段高い次元から嚥下できるはずである。

また、本書の例題があくまで例であることがわかる。前書の理由故に、こういう具体例があるということがわかる。例えば、四章の年金の問題。年金は全額税方式が模索されているが、それは誤りであるという。本来、公共はその公共サービスから排除することが出来ないサービスをもって公共サービスとすべきであるという筋論。例えば、個人が防衛費を支出することがイヤでも、防衛によって便益を受ける個人を特定できない。逆に言うと、社会全体が便益を受ける物を公共という。しかし、年金はまさに、便益を受ける個人を特定することが容易である。つまり、民営化すべきものなのである。ここが、産業改革と国家の財政を論じる上での要と言えなくもない。ほかの例も出せば、エコポイント、エコカー減税、これらは公共であるか、だ。まぁ、本書だけ読むという愚は犯さずに、前書を読んで欲しい。

世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか
(2010/05/28)
野口 悠紀雄

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《参考・関連図書》

大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント
(2011/05/13)
野口 悠紀雄

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日本人が知らない日本経済の大問題日本人が知らない日本経済の大問題
(2010/12/16)
野口 悠紀雄、幸田 真音 他

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実力大競争時代の「超」勉強法実力大競争時代の「超」勉強法
(2011/04/07)
野口悠紀雄

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2011.01/24(Mon)

文武両道、日本になし―世界の秀才アスリートと日本のど根性スポーツマン 

文武両道、日本になし―世界の秀才アスリートと日本のど根性スポーツマン文武両道、日本になし―世界の秀才アスリートと日本のど根性スポーツマン
(2003/04)
マーティ キーナート

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日本になぜ一流アスリートと博士や有能な政治家という二つの経歴をもった人材が生まれないのか考察した書。最初の半分は、アメリカの秀才アスリートの伝記である。弁護士=スポーツ選手とか、政治家=スポーツ選手とか、結構な量が紹介されている。

第二章はなぜ、日本には秀才アスリートが誕生しないのか。教育システムの面からその謎を解く。日本には精神至上主義、のようなものが存在する。根性、努力、などがそうである。ひとつのものに打ち込むことが美徳になっているのである。換言すれば、結果ではなく、過程に意義を見出す社会なのだ。それゆえに、二足のわらじのようなことを嫌う。とくに、スポーツはそうだ。著者は、日本軍は消滅したが、日本軍の精神はスポーツを通して残った、と喝破する。体育会系の上下関係などはわかりやすい。GHQは日本にベースボールを強力に推奨した。しかし、GHQがベースボールだと思って広めていたものは野球(日本軍的精神)だった。


オススメ度: レベル2
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《参考・関連図書》

鷲谷修也の挑戦―文武両道で叶えるメジャーへの道 (HS/エイチエス)鷲谷修也の挑戦―文武両道で叶えるメジャーへの道 (HS/エイチエス)
(2010/06/30)
遠藤 友彦

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お茶の間の教育談話 では一体、教育は今何からどう始めればよいのだろうかお茶の間の教育談話 では一体、教育は今何からどう始めればよいのだろうか
(2010/05/25)
吉田 順一

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英国流リーダーの作り方―文武両道に秀でるには英国流リーダーの作り方―文武両道に秀でるには
(1996/03)
小山 堯志

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2010.07/28(Wed)

世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか 

世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか
(2010/05/28)
野口 悠紀雄

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最初のページに2007年比で、2011年までの世界の経済成長率が掲載されている。それによると、世界は11%。アジア工業国も11%。アメリカでさえ3.65%。しかし、日本は-2.65%というマイナス成長なのだ。これはIMFの資料。民主党政権はプラス成長だという資料を出しているが、どちらが本当かは検証してみなくては分からない。本書はIMFの資料をもとに話を進める。

なぜ、世界が回復する中、日本だけが取り残されているのか。本書は、日本の産業構造に問題があると分析する。日本は貿易により儲けようとしている。一昔前は加工貿易といわれるように、資源を日本に輸入して、日本で製品に加工して輸出していた。しかし、その形はすでに崩れ、現在は後進国に最終消費財を供給しようとしている。これからは、中国やインドの消費を当てにするらしい。後進国の最終消費財は低価格である。それ故に、人件費がバカ高い国内での生産は無理で、後進国で生産し売るしかない。国内の経済はさらに落ち込むことになる。

落ち込んだ国内経済をどのように保っているのか。雇用保蔵という統計がある。雇用保蔵とは企業内失業者のことだ。企業にとって必要のない労働力のことである。21年度の経済財政白書によると、雇用保蔵人数は600万人前後である。この半分は雇用調整助成金でまかなわれている。政府の緊急対策補正のほとんどがこれだ。かりに、600万人が失業したとすると、日本の失業率は14%で、欧州と大して変わらない。本書でも述べられているとおり、失業率が高くなることは悪いことではない。産業構造が変化するために必要な過程なのである。現在の過剰雇用は日本の労働市場が需給調整の場として機能していないことを露呈している。アメリカや欧州は失業が産業構造の変化にとって不可欠であると知っているからこそ、それを利用するのである。日本のように税金で失業を隠蔽していては、いつまで経っても産業構造の変化は起こらない。否、産業構造の変化が起こるのは、まさに、この国が崩壊するときなのかも知れない。

日本は製造業から転換しなくてはならない。日本の製造業はソ連末期と似通っている。09年、日本の製造業の経常利益の総額は3兆5538億円。一方、緊急経済政策で産業支援に充てられている額は09年の補正だけでも2兆円(雇用調整助成金1.8兆円)。本来、民間企業は利益の一部を税として国家に納める主体。しかし、現状は全く逆になってしまっている、と本書は喝破する。

中国のGDPの伸び率が真実であるか、本書は疑う。ウォールストリートジャーナル等がGDPデータとの不整合を指摘する。中国のGDPデータでは08年第四四半期、年率86.8%の成長率が実現したことになっているが、建設、自動車販売、税収は減少。GDP成長率はねつ造ではないかと思われる。というのも、中国政府の正統性維持するためには、経済成長は欠かせないからだ。

最後は上記の分析をもとに、日本が産業構造を変化させねば今後生き残れない。中国が世界の工場と化した時点で、日本の今までの産業は終演を迎えるはずだった。小泉竹中改革とは、滅びるべき産業を温存した改革に過ぎない。日本の賃金が下がるのは当たり前である。

では新しい産業とはなにか。ITや介護である。介護は人手不足だ。その理由は賃金が低いから。普通、人手が足りないと賃金が高くなり人が集まる。しかし、介護保険料で人件費をまかなっている介護にはこの法則が適用されない。そこが問題だ。7月に続刊が出る。こうご期待。

7月に出る続刊
日本経済を破滅から救うために、いますべきこと日本経済を破滅から救うために、いますべきこと
(2010/07/29)
野口 悠紀雄

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《参考・関連図書》

未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと
(2009/04/17)
野口 悠紀雄

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経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか
(2010/04/09)
野口 悠紀雄

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「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)
(1993/11)
野口 悠紀雄

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2010.07/05(Mon)

クラウド時代と 

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)
(2010/03/10)
角川 歴彦

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クラウド時代とクール革命
とりとめが無く何ともつかみ所のない本。今後のネット系が社会にどのような影響をもたらすかを俯瞰したようなもの。
クラウドコンピュータシステム

web2.0
電子書籍
日本のオタク文化
グーグル革命
ソフト面のグローバリゼーション
iphone

こうやって箇条書きにしたほうが、ちまちま説明するよりも本書の内容を反映できると思う。

クラウド化とは、こっちが持ってるのは端末だけで、アプリケーションソフトはネットに存在し、誰もが自由にアクセスでき、使いたいときに使うことが出来る。本書では「所有から利用へ」と表現されている。たとえばe-mailは一昔前はプロバイダーメールが主流だった。今やwebmailの方が遙かに利用率が高いし便利である。まさにクラウドの象徴である。

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《参考・関連図書》

クラウド大全 第2版 サービス詳細から基盤技術までクラウド大全 第2版 サービス詳細から基盤技術まで
(2010/04/22)
日経BP社出版局

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クラウド化する世界クラウド化する世界
(2008/10/10)
ニコラス・G・カーNicholas Carr

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できるポケット+ クラウドコンピューティング 3時間でわかる次世代ITの実像できるポケット+ クラウドコンピューティング 3時間でわかる次世代ITの実像
(2010/02/15)
小林 祐一郎できるシリーズ編集部

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2010.06/01(Tue)

民主主義が一度もなかった国・日本 

民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)
(2009/11/26)
宮台 真司福山 哲郎

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社会学者の宮台真司と民主党の福山哲郎の対談本。政権交代ヨイショ本。この本は昨年の年末頃の本。我々の政権交代に対する期待を象徴したような内容になっている。今になってみると、「なんだったんだろうな」という感は否めない。

内容はかなりアジった極端なものになっている。冷静な社会分析なら、この前に出版された日本の難点の方が遙かに優れている。

子供手当の理念、CO2・25%削減など、民主党の政策に対する期待と、その理念の内容が詳述されている。たとえば子供手当。「独身者には増税になる」という批判がある。その反論として、「独身者は将来、国に面倒見てもらうので、子供を育てる必要なくして便益を享受できるから良し」という議論がある。しかし、宮台はその議論は間違いだと説く。子供手当の正当性は、アメリカのエデゥケイションタスク等の理論では、「独身者が子育て税や教育税を支払うのは、誰もが社会の存続から恩恵を被る以上、社会の存続に不可欠な人口学的再生産は公的事柄であり、公的事柄にコストを支払うのは当然」

民主党のマニフェストの多くを説明しようとしているので、広く浅い印象を受ける。宮台の話は面白いが、福山は現役の副大臣で、その分遠慮して話している。宮台も福山にまた遠慮している。そこがつまらない。これと、日本の難点、どちらか一冊を読むか選ぶのなら、日本の難点の方を強力に推薦する。

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《参考・関連図書》

日本の難点 (幻冬舎新書)日本の難点 (幻冬舎新書)
(2009/04)
宮台 真司

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これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
(2010/05/22)
マイケル・サンデルMichael J. Sandel

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中学生からの愛の授業中学生からの愛の授業
(2010/06/15)
宮台真司

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2010.03/19(Fri)

成功するコミュニティバス 

成功するコミュニティバス成功するコミュニティバス
(2009/11/25)
松本 幸正

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コミュニティバスとは普通の路線バスとは違い、狭い地域を自治体等が公共交通機関の穴埋めとして導入するバスである。そのために、採算性は度外視し、むしろ、バス導入による地域活性化や年寄りの生き甲斐といった副次的な効果を重視するものである。

ただ、バスを走らせるのは安価とは言えず、大義名分は立つのであるが先立つものがなかったり、続かなかったりするのが現状である。また、副次的効果も十分に達成することは難しく、金に任せて走らせていればいいというものでもない。

本書はいろいろな意味において難しいコミュニティバスの運営を様々な角度から検証したものである。モータリゼーションの起こりから、路線バスの廃線の現状を説き、昨今流行っている環境面に対してもバスは優位であるといった論まで展開する。

またコミバスを成功させるためのニーズの掘り起こしや、徹底した意識調査、値段設定、路線設定、ダイヤ設定、停留所設定等細かい具体策も盛り込まれている。他にも、ムーバスやピーチバスといった先進事例にも軽く触れている。


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生活支援の地域公共交通 (都市科学叢書 3)生活支援の地域公共交通 (都市科学叢書 3)
(2009/04/01)
猪井 博登竹内 龍介

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地理情報システムによる公共交通の分析 (ソシオネットワーク戦略研究叢書)地理情報システムによる公共交通の分析 (ソシオネットワーク戦略研究叢書)
(2010/03)
松原 光也

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改訂版 まちづくりのための交通戦略改訂版 まちづくりのための交通戦略
(2010/02/10)
山中 英生小谷 通泰

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2010.02/24(Wed)

日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!! 

日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!
(2009/02/06)
山崎 養世

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本書は経済恐慌の起きない理由、石油が暴騰してもインフレが起きない理由を例に出して、グローバル経済のあらましを説明する。先進国で石油が暴騰してもインフレが起きないのは、アメリカで7割、日本では6割がGDPにしめる人件費になっているからである。石油大国アメリカでさえGDPにしめる石油コストは6%。石油があがっても労働力を安価な海外に移転すれば製品に転嫁しなくてもすむ。

遠からず海外の技術は先進国に追いつく。そのときに、人件費問題で大敗している日本を含む先進国は、なにをもって後進国に対抗するべきか。本書はその答えを環境対策にもとめる。環境を護ることは地球に住む全人類にとって喫緊の課題である。先進国は環境対策におけるデファクトスタンダードをつくり、環境技術を海外に輸出し、地球環境全体を護る必要性がある。日本ならば、優れた環境技術をアジアに輸出し、アジアの企業と共同してアジアの市場を開発する。ひとつのビジネスモデルとして、日本は環境技術を輸出し、それによって得た金で、新たな開発を行う、というものだ。

本書の題にもなってる太陽経済とは何かというと、今まで石油等の化石燃料に頼っていたエネルギーを太陽や風力の自然エネルギーに変えていこうというもの。石炭経済の覇者がイギリス、石油経済の覇者がアメリカ、次は太陽風力自然エネルギー経済の覇者となるべく、世界各国が狙っている。石油や石炭は土地に依存してきたが、自然エネルギーは技術の勝負。日本にも勝てる見込みは十分ある。

著者は高速道路無料化の提案者でもある。世の中的に高速道路無料化は不人気であるが、本書を読んで理解を深めてほしいと思う。80年代の中国において、土地の安さや人件費の安さは弱みだったが、90年代、それが強みになる。日本も同じだ。日本の地方都市は衰退し崩壊しそうに見えるが、その土地の安さ、人件費の安さが世界の企業が進出してくるにあたり魅力になる。そのためには東京一極集中という後進国型のメンタリティを廃さねばならない。地方に血液を通わすためには、利用しやすい高速道路、環境負荷のかからない自動車がベストである。著者はさらに、高速道路自動走行システムの導入を提唱する。すると、運転手居眠りしながら目的地に着くことが出来るのだ。夢のようなシステムに今は思えるが、余は遠からず実現すると思う。携帯電話やカーナビも、我々が生まれた頃はSFの世界にしか存在しなかったではないか。

最後に、人民元とドルの関係が述べられ締めくくられている。これもグローバル化を語る上でわかりやすい例だと思う。グローバル世界の勝者に一国がなることが可能なのかどうか。読んで損はない一冊。

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日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命 (文春新書)日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命 (文春新書)
(2009/03)
村沢 義久

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ビジネス読解力を伸ばす未来経済入門ビジネス読解力を伸ばす未来経済入門
(2009/09/29)
小宮一慶

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入門ビジュアル・テクノロジー よくわかる太陽電池 (入門ビジュアル・テクノロジー)入門ビジュアル・テクノロジー よくわかる太陽電池 (入門ビジュアル・テクノロジー)
(2009/02/19)
齋藤 勝裕

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2009.11/03(Tue)

死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち 

死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち
(2006/07)
アニー チェイニー

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ドキュメンタリー作品だ。死体は解剖実験等に使用される。その場合の死体は非常に高値で売買されるのである(一体まるまるだと5千ドル前後。パーツごとに切り分けて売れる場合、総額は何倍にもなる)。故に、ビジネスが派生し、不正な死体流用等も行われているのだ。死体は商品として扱われ、それこそ、豚肉や牛肉とまったく同じ、解剖のプロがいて流通のプロがいて調達のプロがいる。本書は特に調達を重点に調べてある。死体をどこで調達するか。それは火葬場だ。火葬場は献体をつのる。献体をしてくれた場合火葬費用は無料とする、などして。本書に載っていた売り文句はこうだ。

「遺言状による献体は、健康科学の増進に貢献するばかりか、視力、聴力、または自力で歩く能力を失った方々に、チャンスを与えることができます。この不自由な人たちが、より完全に人生を満喫できるよう、新たな世界を開きます。物言わぬ教師、素晴らしい英雄。貴方の肉体は、なにものにもまさる遺産となるのです」

たしかに、こんな風に言われると献体はいいことのように思えてしまう。また、ここに書いてあることも一部は事実だろう。しかし、問題は「献体をしない」という死体まで、火葬屋は売り飛ばしてしまっていると言うことだ。炉に棺を入れた後、死体を抜きとり、最後に適当な灰を入れておく。一々その灰が人体かどうかなんて確認する人間はいない。こうして、火葬場は大もうけできるという。もちろん、これはアメリカの話であるが、アメリカがやってるなら日本だってやってて不思議はない。アメリカの医療関係は死体が必要だが、日本の医療関係は死体を必要としないなどということはないはずだからだ。

死体はなにに使われているのか。最近は科学技術の進展とともに、用途が多様化しているらしい。医学生の解剖実習用はもとより、外科医の研修用、製薬会社、医療機器メーカーの製品開発。化粧品の原料。臓器や人体は脚光を浴びる移植だけでなく、骨はすりつぶして歯周病手術に、心臓はベンを切り出して心臓手術に、皮膚は火傷の移植手術やフリーズドライにして貯蔵しておき、必要なときに水を加えて元に戻し、唇や顔の皺やペニスに注入したりする。人体に捨てるところなし、らしい。

死体泥棒は今に始まったことじゃない。本書には死体盗掘の歴史も併録されている。一見の価値有り。

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死体入門! (ナレッジエンタ読本 7)死体入門! (ナレッジエンタ読本 7)
(2008/03/19)
藤井司

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(2008/12/05)
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死体の経済学 (小学館101新書 17)死体の経済学 (小学館101新書 17)
(2009/02/03)
窪田 順生

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2009.10/01(Thu)

「タバコは百害あって一利なし」のウソ  

「タバコは百害あって一利なし」のウソ (新書y)「タバコは百害あって一利なし」のウソ (新書y)
(2007/07)
武田 良夫

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この本は単にタバコの化学的作用のみに着目して不健康であるという、または不健康ではないという書ではない。なにが科学的であるか、ということを度外視して、タバコという文化を論じようとするものである。極論とも言える、「タバコは毒である。その毒を吸うことに喜びがある」というような趣旨が面白い。

また、著者は言う。「喫煙大国である日本がどうして、世界一の長寿国であるのか?」このことからも、喫煙の有害性を疑う。現在後期高齢者となっている方々は、終戦直後は食うものに困り、高度経済成長期には寝ないで働き、よく飲んでよく吸って、それでいて世界一の寿命を獲得している。

社会では煙草の害を実態よりも多く報道している。その結果、アスベストが原因の肺癌も、煙草が原因とされてしまったりと、報道被害というか、世の中の煙草に対する執拗な忌避が実害をもたらしてしまっている。

著者は世の中から曖昧さが消えてきていると嘆く。人の世とは、善悪是非、まっぷたつに別れるものではない。タバコの世界も、「タバコやめますか、人間やめますか」や「タバコか、健康か」ではなく、二つを両立できるのだという。

タバコはついに医療化した。医療化とは現代医療がその範囲を広げていくことを指す。「喫煙者はニコチン中毒であり、喫煙者は依存症という病気、故に治療すべし」ラベリングして、専門職を以て正当化する。人間の個性や自由意志を否定する。例えば精神医療などはその典型である。もっともらしい名前をつけて、精神科医が他人を異常と断定する。タバコ依存も然り。仮になにかの拍子にタバコが流行ればこういうレッテルも貼れる。タバコを吸わないのは充分に知能が発達していないからこれを治療する必要がある、と。つまり、どちらもレッテル張りの既得権益の都合のよいように使われるだけなのだ。他人を異常者や病人のように見るのはやめよう。

古くからある統計のまやかしが、タバコの統計にもふんだんに使用されている。
「タバコを吸う受験生の方が、タバコを吸わない受験生よりも成績がわるい。故に、タバコを吸うと頭が悪くなる」
最近では「タバコ」を「朝ご飯」に変えて、まったく同じ言説が罷り通っている。しかし、この言説は逆もまた真なりと言える。
「頭が悪いからタバコを吸う。故に、タバコを吸う受験生は成績が悪い」
今時、こんな欺瞞的統計にひっかかるやつがいるのだろうか。

最近は健康至上主義のようなものがある。このクソつまらん世の中に、せめて命だけでもつなぎ止めおかむ、とでもいうのだろうか。健康は手段ではなく目的になっていないだろうか。だが、この健康にビクビクするのも考え物で、フィンランドの保健局が行った実験では、健康に気をつかい、4ヶ月にいっぺん医者に健康診断をしてもらうよりも、まったく健康に気をつかわず、好きかってやってる方が死亡率や罹患率がすくない。

最終章はスロータバコのススメである。紙巻きタバコを仕事の合間や行き帰りに慌てて吸うのではなく、家でゆっくりと、葉巻をくゆらせたり、パイポに葉を詰めたりと、その作法から楽しむ。至福の一服をつくり出す。これこそ、健康にいいと著者は述べる。心と体は同一である。心によいことは体にもいい。無理にタバコをやめてストレスを溜めたほうが健康には悪かろう。

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タバコ狩り (平凡社新書)タバコ狩り (平凡社新書)
(2009/06)
室井 尚

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スモーカーのあなたにはタバコは栄養です―タバコ有害論は矛盾だらけ!スモーカーのあなたにはタバコは栄養です―タバコ有害論は矛盾だらけ!
(2007/11)
松枝 史明

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〈禁煙セラピー〉で9割タバコがやめられる (ロング新書)〈禁煙セラピー〉で9割タバコがやめられる (ロング新書)
(2008/09/01)
アレン・カー

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2009.06/20(Sat)

権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 

権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 (888))権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 (888))
(1974/01)
なだ いなだ

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本書は1974年に上梓されたもの。名著なので版を重ね現代に至っている。本書の構成は、精神科医である著者と高校生のダイアローグである。まだ、思慮の浅い高校生が自分の意見や質問を著者に投げかけ、著者がその質問に答え、高校生の思想を補充していくという流れだ。もちろん、この高校生は著者が作った架空の人物であると思われる。

高校生は現代は権威が失われた時代だと主張する。すなわち、親の権威、教師の権威、政治家の権威。政治不信や学校や家庭が荒れる等の現代の不都合はこれらの権威が失われたことが原因である。ゆえに、それぞれが権威を取り戻せば、これらの不都合は解消される。

だが、著者は権威が回復するだけでは現代の諸問題は解決しないという。そのために、権威の構成要因を考察する。

本書の核心部分は権威の所在を明らかにしているところだと思う。生徒は先生に権威を感じる。しかし、同僚の先生が、その先生に対し、生徒と同じように権威を感じているかと言えば、そのようなことはあり得ない。ほかにも、我々は「辞書」は正しいと思う。しかし、辞書の編纂者、もしくは編纂者以上に知識を持ったものは、辞書に権威を感じない。

と言うことは、権威とは権威を持っているといわれる物の中にではなく、権威を感じるものの内部にあるものが投射されたものであると言える。

では、話を戻し、教師や親や政治家に権威がなくなったからといって、いわゆる権威そのものが消えたのかと言えば、著者はNOと答える。現在の権威は、○○賞とか、○○推薦とか、全米ナンバーワンとか、Googleの一番上に掲載されるとか様々な形に変容して我々を支配している。目の前の権威が消えたせいで、漠然とした曖昧な権威が勃興している。

そもそも、人はなぜ権威に従ってきたのか。誰しも生まれたときは誰かの保護が必要である。そこに、権威の源泉がある。不安を権威に頼り埋め合わせするという習性を人類は幼少の時に学習してしまっている。大人になってもそれが尾を引いて、自分の知恵ではなく、何らかの権威に頼り不安を埋める。

しかし、これは合理的な面もある。すべてのものを均しく疑っていたら、生活がままならない。ある程度権威を信頼して、進んで権威に騙されて生きていく方が楽なのだ。そこに、悪意ある権威が入り込む隙間があるとしても。また、すべての権威が我々を騙しているわけではない。

最近は政治不信から市民参加などという輩が増えている。食品の不安、マンションの耐震の不安、様々な不安が現代を覆っている。それら一つ一つを自分で確認出来るかと言えば、それは不可能だ。それらの不安は、結局の所、新しい権威に生まれ変わってもらうしかないのではないだろうか。例えば、政治不信によって市民参加と騒ぐ団体に新しい権威が移り、食品や耐震偽装をチェックする機関に権威が移る。この繰り返しではないだろうか。余はむしろ、この繰り返しが停止してしまう時のほうが恐ろしく思う。我々がなんのきなしに満員電車に乗れるのも、日本人という人種を信頼しているからである。信頼も権威と同じく、我々の内側から投射されたものに過ぎない。しかし、その信頼がなくなった世の中はまさに乱世である。逐一人々を疑っていなければならないなど、面倒至極である。著者は理想の社会を調和と呼んでいるが、調和は信頼に置き換えることも出来ると思う。

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神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話 (岩波新書)神、この人間的なもの―宗教をめぐる精神科医の対話 (岩波新書)
(2002/09)
なだ いなだ

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こころの底に見えたものこころの底に見えたもの
(2005/09/05)
なだいなだ

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信じることと、疑うことと (ちくま文庫)信じることと、疑うことと (ちくま文庫)
(1996/05)
なだ いなだ

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2009.02/11(Wed)

現代政治学 第3版 

現代政治学 第3版 (有斐閣アルマ)現代政治学 第3版 (有斐閣アルマ)
(2007/10/04)
加茂 利男大西 仁

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初版は古いが、版を重ねるごとに加筆修正されているので、内容は新しい。余が読んだのは第三版。

政治学の基礎や本質といった物よりも、題名通り現代の政治が抱えた問題に焦点を当てて書かれている。だから、純粋に政治理念を知りたいのならば、「スタンダード政治学」の方がよい。

本書は細かくて広い。政策、政策過程を細かく論じたかと思えば、いきなり政治学史がはじまり、最新の政治学の潮流まで述べられている。

前半は政治全般について取り留めのない感じで書かれている(もっとも、一冊丸ごととりとめないとも言えるが)。

三分の二くらいから、国際社会論、グローバリズムについて述べられていて、読むに値する。8章の「集権と分権」以降が秀逸。ヨーロッパの歴史を振り返り、集権と分権の感覚に迫っていく。ヨーロッパは、ヨーロッパ合衆国を最終目標としている。一見すると、ヨーロッパは分権が非常に発達しているように見えるが、それは、大ヨーロッパという一つの思想があるが故に分権が可能になるという入り組んだ思想がある。ヨーロッパを糸口にし、民族とはなにか、グローバリゼーションとはなにか、と話が続く。例えば日中などは、最大の貿易相手国となるに従い、お互いの国民感情は悪化していった。国際化がもたらした一国の中での不平等が原因と説く。

その他にも、核兵器の、パワーバランスの歴史等が詳細に描かれていて興味深い。ただ、難しいことが難しく書かれているので初学者には難解。

スタンダード政治学

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基礎からわかる政治学基礎からわかる政治学
(2008/11)
中村 昭雄

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政治学政治学
(2008/10)
加藤 秀治郎

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日本の国際政治学 1 学としての国際政治日本の国際政治学 1 学としての国際政治
(2009/01)
日本国際政治学会、

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2009.01/21(Wed)

必ずこれからこうなるだからこう対処しよう 

必ずこれからこうなるだからこう対処しよう必ずこれからこうなるだからこう対処しよう
(2004/03/30)
船井 幸雄

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2004年の本。時事本の古いのは致命的であるが、これはまだ賞味期限は切れていないはずである。基本的なことがわかりやすく書かれている。政治経済の入門としても使えるかも知れない。例えば、経営では短所是正は良い結果に結びつかない。物事が上手く行かないとき、短所に触れてはいけないのは経営の常識。とか、
IT革命が資本主義崩壊の拍車をかけた。資本主義とは「ムダ・ムラ・ムリ」でなりたっているところが大きい。IT革命はものごとを効率的にしてしまった。確かに、機械化や情報化が進めば進むほど、ある意味、マンパワーは必要なくなってくる。必要なくならずとも、より、人件費の安い所へインターネット等を通じて仕事を持っていった方がいい。すると、人件費の高い先進国は、後発近代化国にはかなわない。アメリカのシステムエンジニアが、インドに仕事を奪われたのと同じようなもの。

ただ、本書は占いとか、超能力のような目に見えないもの、オカルト的研究にも大きくコミットしているので、その辺が嫌いな人は放り投げるかも知れない。

人間の経済原則は「地球の理」で動いてきた。これからは、「宇宙の理」にかなった生き方をしなければいけない、と著者は説く。余に言わせれば、宇宙の理などと言うものも、所詮は人間の小さな頭がひねり出したエゴではないのか、と思うのであるが。まぁ、他人のため、世界のために生きることは大切である。

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2009年 資本主義大崩壊!―いよいよ断末魔の最終章が始まった2009年 資本主義大崩壊!―いよいよ断末魔の最終章が始まった
(2008/12/12)
船井 幸雄(著)櫻庭 雅文(インタビュー)

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生きる!!―「根元を知ること」にこそ真実の「生」がある生きる!!―「根元を知ること」にこそ真実の「生」がある
(2008/10)
船井 幸雄

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180度の大激変!―恐慌と大天災続出時代、しかし「心配不要」180度の大激変!―恐慌と大天災続出時代、しかし「心配不要」
(2008/06)
船井 幸雄

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2009.01/13(Tue)

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に 

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に
(2008/11/11)
宮台 真司 (みやだい しんじ)

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名著である。余は数えて30歳であるが、新鮮な感覚で読んだ。本書はある意味、夢や希望を否定している。この部分が中学生に届くかは疑問である。余ぐらいの年齢になり、世界の不条理を知り、思い通りに行かないことを繰り返して、初めて、この諦念を理解できるのかも知れない。おそらく、余が中学のときにこの書を読んだら、「余は他の者どもとは異なる」として、聞く耳持たなかったのではなかろうか。また、良く背伸びをしていたので、対象年齢14歳の本などは手にしなかったのではなかろうか。

本書は、社会と人間の関係を説く。NLP的に言えば、社会という前提が人間というマシーンにプログラムを埋め込んでいくとでも言おうか。例えば、我々が人を殺せないのは、殺してはいけない決まりがあるから、とか、殺してはいけないと理解し納得しているからでもない。殺せないのだ。殺せないように社会で育ってきたからだ。その社会の仕組みというのは、他者がいて、初めて自己の承認を得られる。他者を消すと言うことは自己の承認を消してしまうこと。故に、社会から切り離された、例えば神戸の「酒鬼薔薇聖斗」や秋葉原の「加藤容疑者」のようになって、初めて人を殺せるようになる。そうでなくても、死刑執行人や兵隊は社会的容認があるので人を殺すことが出来る。

「行為功利主義」と「規則功利主義」の所も面白い。というのも、余は今これを痛感している。まさしく、社会が移り変わる境目のような気がしているのだ。
著者はJR芸備線の路線内に勝手に踏切を作って威力業務妨害で逮捕された老人の例を出す。この老人は畑に農作業に行くに当たり、線路を渡らなければいけないので、踏切を作って欲しいとJRに要請していたが脚下。野菜を載せた手押し車で迂回するのは大変だからと、自分で踏切を製作。近所の人も喜んで使っていたら、ある日突然逮捕。
踏切を作ることによって、老人が幸せになれるんだから、法律なんて関係ない、と言うのが「行為功利主義」。いや、規則は規則なので守らなければならない、規則を守ることにおいてのみ、人々は幸福になれる、というのが「規則功利主義」
もっと卑近な例で言うと、最近飲酒運転がやたら厳しい。一昔前の田舎では、飲酒運転は当たり前だった。都心のようにバスや電車だタクシーだと代替輸送機関が田舎には存在しない。車で移動するしかないのだから、飲酒運転は見逃されていた。
駅の付近に自転車を駐めるのも、最近は御法度。昔は平気で駐められていたのに、今では行政がトラックに積んで持って行ってしまう。
余も、規則功利主義の立場に賛成であるが、ここに落とし穴があるような気がしてならない。確かに、自転車が溢れて通行の妨げになる所もある。最初はそういうところがターゲットとして持って行かれてた。しかし、「あそこは駐めて良くて、ここは駐めちゃ駄目なのはなぜだ」という話になり、自転車を駐めておいても邪魔にならないところまで、自転車を持って行かれてしまうようになった。幸せになるために作ったはずの規則が、我々の利便性を奪う結果となる。この世はどんどん住みにくくなる。

理想と現実の章では、著者は、仕事に生き甲斐を感じて自己実現できる人間なんて一握り。仕事は仕事と割り切って、その他のことに喜びを見出した方が人生楽しく暮らせるのではないか、と説く。昔は仕事と生活が密接に結びついていた。近所には商店街や職人がいて、それを見て仕事を決めていた、が、最近はシャッター街。地域と仕事は切り離されてしまっているのに、仕事での喜びが、そのまま地域で承認されることはありえない、と言うような意味か。また、働けば豊になれるという幻想も消えてしまった。
著者はこう言う。
「人々に生き甲斐を与えるために仕事があるんじゃない。社会が必要とするから、仕事をしてもらわないと困る人々がいるから、仕事がある。みんなが仕事に「生き甲斐」を求め始めれば、多くに人は「生き甲斐」から見放されてしまう」
挙げ句の果てにこう止めを刺す。
「君に向いた仕事なんてあるの?」

「自由」への挑戦の章では、自由を選択する能力、選択肢を探す能力の重要性を説く。自由の本質へ迫る議論をへて、社会がどのような自由な意志によって成り立つのかに考察を加える。パーソンズを例に出し、「人々は自発的な意志によって、社会を作る。その社会が、人々に自発的な意志を与える。このようにして、社会はぐるぐる回っていく」そこには、善悪はない。社会が変われば善悪も変わる。善悪の観念もその社会の中でぐるぐる回る。

だからこそ、芸備線の例のように、社会が変わる兆しは、面白くもあり、チャンスでもある。と余は思う。我々が無意識に暮らしている社会は、ひとたび疑念を抱けば、謎だらけである。この書は、そんな世の中の不思議に対して、ヒントをくれることだろう。

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「世界」はそもそもデタラメである (ダヴィンチブックス)「世界」はそもそもデタラメである (ダヴィンチブックス)
(2008/11)
宮台 真司

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教育をめぐる虚構と真実 (神保・宮台マル激トーク・オン・デマンド)教育をめぐる虚構と真実 (神保・宮台マル激トーク・オン・デマンド)
(2008/10)
神保 哲生宮台 真司

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挑発する知―愛国とナショナリズムを問う (ちくま文庫)挑発する知―愛国とナショナリズムを問う (ちくま文庫)
(2007/11)
姜 尚中宮台 真司

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