タモヒトの読書日記
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2008.07/18(Fri)
不正入札―公共事業に群がる業者たち
不正入札―公共事業に群がる業者たち (2007/03) 加藤 正夫 商品詳細を見る |
不正入札とは談合のことである。もと警備会社の社員で、実際の談合にかかわった著者が、その内実を明かす、かなり面白い書。
場面は警察の強制捜査から始まり、どうして、強制捜査にいたったか、それまでのいきさつが詳しく書かれている。領収書などから、政治家、役人、業者がどのようにして談合を行っているかが馬鹿でもわかるように書かれている。
諸賢のなかで、どうして談合が行われるのか不思議に思っている方は、是非ご一読を勧める。談合がいかに合理的であるかわかる。その合理性は、業者だけでなく、役人にも、政治家にもあることがわかる。
本書は談合サスペンスとでも言おうか、読み物としても普通に面白い。また、終章では、談合防止策の模索、談合の功罪も論じられている。
アメリカの談合事情も述べられており、余は談合が実に社会的、民族的なものであることがわかった。日本には力があるものがダンピングでもなんでもして、弱小会社を潰してしまおうという発想があまりない。誤解を恐れずに言えば、共生をめざした社会なのである。Winner takes allにあまり魅力を感じない社会性が存在しているような気がする。だが、今後、この国は必ず変わる。談合や共生は、生温いから行われていたわけではない。以前は、皆がそろって豊になる必然性があった。国を富ます必然性から共生が有意であった。しかし、国家の富が貯めるものから失うものへ転じるとき、共生などしてたらただの共倒れになるので、競争が生まれる。まさしく、「共生(談合)から競争(入札)へ」の社会である。
オススメ度: レベル5
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