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2012.03/29(Thu)

関東大震災 

関東大震災 (文春文庫)関東大震災 (文春文庫)
(2004/08)
吉村 昭

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関東大震災を様々な角度から検証して、全貌を浮かび上がらせようとしたもの。試みは実に良く成功している。

まず、震災の発生までの世情を論じる。2人の対照的な地震学者である大森教授と今村助教授をまるで小説の登場人物のように動かし、この2人がどのように地震について考え、帝都の民がどのように震災を思ったかを描く。震災は突然襲ったのではない。帝都の民はある程度予想し、怖れていたのである。

次に実際の震災による被害状況を資料を用いて克明に記す。さらに、被服廠跡や、浅草吉原公園など大規模な被害を出した場所を取り上げ、当時の証言を元にどのようにして悲劇が起こったのかを検証している。また、大火災を防いだ例も検証している。

震災後、人々はどのように振る舞ったか、世情はいかような影響を受けたかなども、章をさいて言及している。中でも、朝鮮人虐殺と大杉栄の殺害の項は実に良く書けている。まるで、その当時にいるような錯覚に陥る。

本書がドキュメンタリー、記録として優れていることは言うまでもないが、エンターテイメントとしても秀逸である。建物の中でこの書を読んでいたら、怖くなり建物を出てしまった。また、地下鉄に乗るのも怖くなる。この前は遠回りを承知で地上の電車に載ってしまった。首都に地震は必ず来る。この書を読んで心構えをつけておくことを勧める。


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《参考・関連図書》

「3.11キヲクのキロク」市民が撮った3.11大震災 記憶の記録「3.11キヲクのキロク」市民が撮った3.11大震災 記憶の記録
(2012/03/03)
NPO法人20世紀アーカイブ仙台

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平成関東大震災 いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった (講談社文庫)平成関東大震災 いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった (講談社文庫)
(2010/09/15)
福井 晴敏

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3・11大震災 記者たちの眼差し [DVDブック]3・11大震災 記者たちの眼差し [DVDブック]
(2012/03/11)
JNN

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2012.03/23(Fri)

フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか? 

フォントのふしぎ  ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
(2011/01/17)
小林章

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地味であるが大変興味深い本。アルファベットフォントについての様々な逸話が載っている。我々が普段何気なく目にしているフォントに、先人達の苦労が凝縮されている。例えばXやAをワードなどで拡大してみて欲しい。そして、いろいろフォントを変えてみて欲しい。Xなどは定規を当ててみると、あら不思議ということになると思う。

アルファベットの文字数は漢字などに比べれば遙かに少ない。その少ない文字に、これだけの注意が払われているというのは面白い。空港などに用いられるフォントは視認性が追求されている。実際、普通のフォントと並べ、同じガウスぼかしをかけると、その視認性の良さが確認できる。S・8・3、このあたりは間違いやすい。また、合字も様々な種類がある。ffi fl などがそうだ。

しかし、フォント制作者はこういう。あくまで言葉が主役であり、フォントは脇役である、と。ある人が、フォントの特徴を覚えていて、言葉を忘れているようでは、フォントとして失格だ。スープを飲み終えて、そのスプーンの経常をありありと思い出せるなら、そのスプーンは失敗作ということ、らしい。至言なるかな。


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《参考・関連図書》

文字のデザイン・書体のフシギ (神戸芸術工科大学レクチャーブックス…2)文字のデザイン・書体のフシギ (神戸芸術工科大学レクチャーブックス…2)
(2008/05/19)
祖父江 慎、藤田 重信 他

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和文フリーフォント集和文フリーフォント集
(2010/12/02)
大谷 秀映

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デザインの現場で役立つフリーフォントBEST1000デザインの現場で役立つフリーフォントBEST1000
(2011/05/31)
エムオーケー

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2012.03/15(Thu)

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
(2011/11/19)
與那覇 潤

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挑戦的なタイトルであるが、意味はこうだ。何をさして中国かというと、宋代以降の中国の国家形式を指す。宋代以降の中国の国家形式とは、①貴族政治の廃止、②自由貿易、③夜警国家である。

中国は宋代から、貴族が政治を牛耳るのをやめ、皇帝の官僚、即ち科挙に受かったものが政治を行うという、19世紀ヨーロッパをして驚愕せしめた公正性を実現した。イギリスの官僚制は中国を範としたらしい。

そして、自由貿易である。民は移動の自由、経済活動の自由を手に入れた。モンゴル帝国が世界帝国だと言うが、モンゴル帝国は自由経済圏を広げ、安全の変わりに間接税を徴収する国だ。「誰に断って商売してんだゴラ」の世界版である。

夜警国家とは、国家は治安、外交、戦争などのまさに国家でしかできないことを行う小さな政府。別の言い方をすると、その受益者を特定できない業務のみを行うということである。

これの反対が日本である。
日本は階級社会であり政治は武士の世襲制で行われてきた。農家は農家、商家は商家として代々受け継がれるものであった。戦前は大政翼賛となり、戦後は企業社会、終身雇用となり、会社で一家をなしていた。しかし、いまは中国化に向かっているので、なかなか世襲制という社会保障を感じにくいが。

世襲制なので、当然移動の自由、公益の自由はない。

日本は身分制という福祉政策を行っていた。「あんたは百姓だけど、百姓やっている限りその土地は永遠にあんたのものだ」もちろん、売り買いは出来ない。このシステムは明治維新によって破棄されることになるが。

中国人はよく協力な宗族ネットワークを持っていると言われる。ユダヤ人も強力なユダヤネットワークを持っている。それは、公的機関による社会保障がないため、生き延びるには宗族のネットワークを頼るしかなくなった結果だ。日本も3.11のあと、結婚率が増えて、絆だとか言い始めたが、まさに公的救済の限界を人的ネットワークに置き換えたのだろう。

中国がどうして中国化したかというのも色々ある。中国のような広大な平原は、洪水や旱魃や飛蝗によって簡単に生活地域が消滅する。日本のように一所懸命とはいかないのである。

また、どうして明治維新で日本が西欧化に成功し、中国が失敗したかというのも面白い。日本はペリーが来て大砲ぶっ放してあっという間に開国した。しかし中国はアヘン戦争でボロ負けしたあと70年間も清朝がつづいた。この違いはなんだろうか。

日本にとって西欧は魅力的だったが、中国にとって、西欧式の体制などは、とうの昔に実現していたことなので、西欧化の必要性を感じなかったという分析だ。清朝は歴とした郡県制の中央集権国家で、自由貿易が行われている。科挙に受かって官僚になる手だてもある。西欧の自由が魅力として映らなかった。日本は封建制で日本全土に小国家が散らばっている。移動の自由も公益の自由もない。西欧の自由が魅力的に映ったのであろう。

いわゆる近代国家的要素である、法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義、がなぜ生まれたか? 西欧が遅れた地域だからだと説明する。西欧は最後まで貴族社会が残った地域だ。法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義はすべてもともと貴族の権利である。これが、庶民に拡大されたに過ぎない。

よく、西欧は下からの民主主義であり、日本は上からの民主主義だと言われる。西欧は産業化の過程で小金持ちが生まれ、自分たちの代表を議会へ送り込む。だから、金持ちしか投票権がない。そして、徐々に権利が奪われていき、最後は女性に権利が奪われる。日本では権利が分け与えられたと考えるが、実際は、権利を分捕っていったのである。だから、下からの民主主義なのだ。日本では「権利=与えられるもの」と考えるが、西欧では「権利=分捕って金に換えるもの」である。

もちろん、世界が中国化のワード一つで説明が付くほど単純ではない。それも、こういったおおざっぱな分析は対局を掴むのに役立つ。本書は中国のことを知るにも、我が国を知るにも有益である。


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《参考・関連図書》

中国嫁日記 (二)中国嫁日記 (二)
(2012/03/10)
井上 純一

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「中国の正体」を暴く (小学館101新書)「中国の正体」を暴く (小学館101新書)
(2012/02/01)
古森 義久

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「中国模式」の衝撃―チャイニーズ・スタンダードを読み解く (平凡社新書)「中国模式」の衝撃―チャイニーズ・スタンダードを読み解く (平凡社新書)
(2012/01/15)
近藤 大介

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2012.03/08(Thu)

詩の世界 

詩の世界 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS)詩の世界 (ポプラ・ノンフィクションBOOKS)
(1996/04)
高田 敏子

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中学生向けに書かれたようであるが、大人が読んでも間違いなく楽しい。本書は1972年に上梓された。余が手に入れたのが1992年の第30刷。いまでもソフトカバーとなって普通に売っている。全国学校図書館協議会選定図書である。

詩とはなにか。一度でも詩を書こうと思ったひとは考えるはずである。しかし、なにが詩であるか、詩をどのように味わえばいいか、そもそも、詩をどう感動すればいいのかすら、なかなか分からないのではなかろうか。余もこの年まで、幾編も詩を読み、詩を書いてきたがつゆぞ感動したことはなかった。余は詩の感動を知るには、その時がこなければダメだと思っている。どんなに優秀な教師でも詩の感動を教えることは出来ない。愛と同じである。言葉で愛は教えられない。感じるしかない。こればかりは出会いしかない。

著者はこう書く。「詩は、さびしいときにできると、よくいわれますが、さびしいという感情が、人の心を謙虚にするからでしょう。そのときはじめて、風のことばが聞こえたり、冬の樹が寒さにたえる姿を見せて、励ましてくれるでしょう」

また、比喩の項では幼稚園児の文集の「ボクの足がサイダーを飲んじゃった」という例を引き、「しびれる」ということばを知らないがためにこういう表現が生まれた。ことばに頼りすぎると、表現としてはつまらなくなる例をあげる。

詩と文章の違いを、最初普通の文章を記し、それを徐々に詩的装飾を加えていくことにより詩にするという試みも行われている。

本書は詩人の目というものを教えてくれる。同じ一つの物体でも、様々な角度から見ることにより、哲学的思考を加える。詩は芸術である。実用的行動は芸術ではない。芸術とは感情の表現であり、そのためには実用を超えた、すなわち、哲学的思考が必要不可欠なのだ。

本書が中学生向けとされ、大人が手に取らないようなことがあれば、それは大いなる文化的損失である。


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《参考・関連図書》

詩とはなにか―世界を凍らせる言葉 (詩の森文庫)詩とはなにか―世界を凍らせる言葉 (詩の森文庫)
(2006/03)
吉本 隆明

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世界の名詩を読みかえす世界の名詩を読みかえす
(2002/12)
葉 祥明、東 逸子 他

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詩とは何か―詩論の歴史詩とは何か―詩論の歴史
(2003/07)
星野 徹

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2012.03/01(Thu)

自叙伝・日本脱出記 

自叙伝・日本脱出記 (岩波文庫)自叙伝・日本脱出記 (岩波文庫)
(2002/07/09)
大杉 栄

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伏せ字が多い。これだけ伏せ字が多いということは、そもそも、作者が伏せておかねばならぬことも多々あると思われる。その証拠に、脱出記などでは、前後の記述が結構変わる。それがまた時代を醸し出していて良いのであるが。

明治大正のアナキスト、大杉栄の著書である。本書は思想的な側面ではなく、彼の随筆といったようなものだ。だからか、とても読みやすい。100年も前にこれほど読みやすい日本語があったとはじめて知った。著者自身も読みやすい言葉になるように相当気を遣っているものと思われる。

官憲に殺害されることにより、伝説となった大杉であるが、本書のなかの大杉はまったく等身大である。いや、むしろ本人は矮小化し書いているのではあるまいか。

明治の風俗、また、大正期のパリや上海、登場人物もみんな国家から目をつけられている変わり者で面白い。また、彼らの思想というか、意志の純粋さ、対権力といった姿勢に今の時代だからこそ共感できる何かがある。彼らも強者ならば、当時の権力側もまた強者なのである。この平成の御代で、争うべき権力、権威があるだろうか。打倒すべきなにかがあるだろうか。そう言う意味で、歴史小説、ファンタジー小説を読むような楽しさも備わった一冊である。大正の書とバカにするなかれ、ぐいぐい読ませる一冊。


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《参考・関連図書》

アナーキー・イン・ザ・JPアナーキー・イン・ザ・JP
(2010/09/29)
中森 明夫

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アナーキーインザJPのこのブログでの書評
http://tamohito.blog89.fc2.com/blog-entry-496.html


大杉栄---日本で最も自由だった男 (KAWADE道の手帖)大杉栄---日本で最も自由だった男 (KAWADE道の手帖)
(2012/02/21)
不明

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大杉栄評論集 (岩波文庫)大杉栄評論集 (岩波文庫)
(1996/08/20)
大杉 栄

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