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2007.09/26(Wed)

夕張破綻と再生―財政危機から地域を再建するために 

夕張破綻と再生―財政危機から地域を再建するために 夕張破綻と再生―財政危機から地域を再建するために
保母 武彦 (2007/02)
自治体研究社
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知ってるところでは知られている話なのかもしれないが、余的にはかなり目から鱗だった。130ページの小冊なれど、示唆的な話題がてんこ盛り。

世間では夕張市が無駄な施設を野放図に造った結果、財政破綻の憂き目にあった。夕張は自業自得だ、という見解が一般的なのではないだろうか? 夕張批難論は諸賢ご存じのことと思うので、本書に基づき以下夕張擁護論を記す。

十人十色が如く、自治体もその数だけ特色や歴史がある。夕張の歴史は炭坑の歴史だ。齋藤信義の言を借りれば「国策で繁栄し国策で衰退した」ということになる。明治以来、石炭産業により国づくりの礎をなしたが、石油へのエネルギー転換により衰亡した。2007年6月末の人口は12,494人。1960年の人口は107,972人。50年足らずで10分の1になってしまった。ちなみに1985年でも倍以上の31,665人住んでいたのだ。職員の数が多すぎると言われているが、これだけ急激に人口が減少しているのである。一般の自治体と同列には語れぬ。

本書は破綻の主な原因を三つ挙げている。

①炭坑閉山後の処理負担。夕張炭坑は1990年に全てなくなった。市は炭坑会社の所有であった土地や病院を買い取るのに332億円の借金をした。

②観光・リゾート開発。市は「炭坑から観光へ!」をスローガンに町おこしを行った。語呂がよかったのも災いしたかもしれない。しかし、当時はリゾート法(総合保養地域整備法)の後押しもあり、国中でリゾート乱開発が行われていた。当然、国も北海道庁もリゾート開発を煽っている。夕張は炭坑基金からヤミ起債をしたとマスコミから叩かれた。が、この産炭基金を運営しているのは北海道庁だ。理事長は副知事である。地方財政法では知事の許可を得なければならないことになっている。確かに市は知事の許可を受けていない。しかし、副知事も加わった理事会で適用されたものだ。知事や道企画振興部は「知らなかった」としているが、本当に知らなかったのであれば、職務怠慢どころか職務放棄に近いだろう。

③産炭地域振興臨時措置法の廃止。炭坑で回っていた都市は、炭坑がなくなれば滅ぶ。炭鉱都市の地域振興が出来るように国が面倒見ていたのが産炭法だ。2001年に産炭法は廃止された。60年代くらいに炭坑をなくした都市は充分恩恵を受けたと言えるが、夕張はそうではない。

他にもいくつも理由があるのだが、詳しくは本書で。これだけの国や北海道庁の責任があるにもかかわらず、マスコミは盛大に夕張バッシングをやった。明らかに情報操作であり、世論誘導である。総務省の陰謀だ、というのが著者の所感らしい。

夕張夕張とかまびすしいころ、高橋ジョージが夕張を訪れてレポートするという番組をやっていた。生活苦の住人や、静寂に包まれた遊園地を映していた。そのレポートをゲストで出ていたある国会議員が見て、「日本は民主主義の国なんだから、こんな政治家を選んだ夕張市民にも問題がある」と発言していた。スタジオに戻ってきていた高橋ジョージは激怒。「おまえ夕張行ってそんなこと言えんのかっ!」余はこの番組を見ていたときは、国会議員の言うことはもっともだと思った。高橋はバカだと思った。が、改めて夕張の状況や、現在の社会の状況を見澄ましたとき、果たして夕張市民が最善の投票を行えば、この状況を回避できたかどうか? 疑問である。一地方自治体の投票行動などでは、どうにもならぬほど全体の意志は大きいのではないのであろうか。亡国の歴史とは大概そうではないか。ある時から運命が滅びに向かい、最善を選択していたはずなのに、気がついたら最悪に陥っているという。ナチスドイツの国民達も、自分たちの意志で最善を選んだはずなのだ。ソビエトもそう。

地方自治体の選挙だけでなしに、国政選挙にも同じ事が言える。曖昧模糊として流れている社会の風潮というものに対し、我々の投票行動はどれほど有効なのであろうか。投票行動というものは漠然と流れる風潮の一要素でしかなく、投票を以てして実態のない風潮を動かそうなどとするのは、幻想にすぎぬのではないか?

Ⅳの提言は下らない。市で出来ないことを、道にやらせようとしているだけである。いずれ、道が出来なくなれば、国にやらせればいいと言うことになり、国が出来なければ……

オススメ度: レベル4.5
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テーマ : 知的好奇心を刺激 - ジャンル : 本・雑誌

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●アキハバラ@DEEP
「変われる人から、まず変わろう!!」

情報を制した後、全ての事は、この言葉が代弁しているように思えます。
マンガの中のセリフですけどね。
solomon000jp | 2007.09.26(水) 01:42 | URL | コメント編集
コメントありがとうございました!
タモヒト | 2007.09.26(水) 16:57 | URL | コメント編集
●エディタからきました
書評をやってらっしゃるのですね!
昔は読書が好きでしたが最近は
簡単な内容の物しか読んでいません

分かりやすく感想が書いてあっていいですね
これからもどんどん本を紹介して下さいね
さらりら(すたーびっつ) | 2007.09.30(日) 09:30 | URL | コメント編集
さらりらさん ありがとうございます。
これからもガンガン紹介していくつもりなので、
よろしくお願いします!
タモヒト | 2007.09.30(日) 09:48 | URL | コメント編集

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