06月≪ 2017年07月 ≫08月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031
--.--/--(--)

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【編集】 |  --:-- |  スポンサー広告  | Top↑
2007.11/10(Sat)

図説市民とすすめる自治体財政再建 

図説市民とすすめる自治体財政再建―財政健全化やNPMによるものではない、もう一つの処方箋がここにある。 図説市民とすすめる自治体財政再建―財政健全化やNPMによるものではない、もう一つの処方箋がここにある。
初村 尤而 (2007/09)
自治体研究社
この商品の詳細を見る


滅茶苦茶行政の筆頭、大阪市の元職員が記した本。余は著者の講演も聴いたことがある。自分で、昔はヤミ給与やヤミ休暇をもらっていた、といっていた。そんなこんなで、地方自治の裏の裏まで知っている著者が、エッセイのように面白可笑しく書いたのかといえば全然そういうものではない。非常にお堅い書物。財政分析や先進自治体の事例がびっしり。

見開きにすると、左のページが文章で、右のページが図や表になっていて、理解を進めるのを助ける。一方、無理矢理こういう設定にしたので、無駄な図表も少なくない。

最新の分析や資料を使っているので、三位一体の改革の影響や、財政変化が詳しく説明されている。

面白かったのは第三章全体、就中、閣議決定された「骨太の方針」を否定しているところ。
骨太の方針にはこう書かれている。

「国民は納税者として公共サービスの費用を負担しており、公共サービスを提供する行政にとっていわば顧客である。国民は、納税の対価として最も価値のある公共サービスを受ける権利を有し、行政は顧客である国民の満足度の最大化を追及する必要がある」

こんなものが閣議決定されているのだ。諸賢はこれを見て狂っていることに気がつくであろう。著者もこれのおかしさに突っ込みを入れる。まず、国民を顧客と表現するところが逝ってしまっている。古い言い方をすると、全ての国民は天皇の赤子であり、顧客などでは断じてない。そもそも、企業とは利益を追求するものである。国家とは正義を追及するものである。それに、国民が公共サービスを受ける権利を有しているのは納税の対価などではない。日本国の民であるから日本国の恩恵を無条件で受ける事が出来る。骨太の方針の理論でいくと、納税をしない国民は公共サービスを受ける資格がない、ということになる。しかし、この間違った思想は結構市民権を得ていて、不労者や生活保護者は国家のお荷物であるような気風が漂い始めている。その結果、北九州などで餓死者が出ても世論はとくに問題にしない。商売人上がりや、市場原理かぶれの議員が多いせいか、議会も国家を企業と見なすような醜態ぶりである。

こういった反論が予想される。
「皆が皆、働かないで、納税しないで、公共サービスを受けていたら、国家が成り立たないではないか」
もっともな論である。しかし、現行憲法では全ての日本国民と規定されている。憲法改正おり、「正当な理由なくして納税しないものは国民たる権利を喪失する」などという一文が盛り込まれる可能性もある。どうせ生きにくい世の中なら、徹底した方がいい。そのほうが早くぶっ壊れて幸いだ。

著書にも軽く触れられているが、近代国家とは、応益思想から応能思想へ変遷を経る歴史がある。応益思想とは、サービスを受けるごとに、サービスに応じた税を納めること。応能思想とは、サービスの量に関係なく、所得が多い人間がたくさんの税金を納めること。

最近は地方自治体でも、応能思想が揺らいでいる。富める人間が貧しいものの為に沢山納税し、国家の富を再分配しようという思想が揺らぎ始めた。個人主義が台頭し、共同体理念が廃れてきたことの証であろう。我が市は貧乏で下水道が充分に引けない。それで、隣の市の下水道を利用している。もちろん、使用量は払っている。しかし、建設費を払っていないからけしからんという。隣の市は金持ちだ。

この国の金持ちは、もはや貴族ではなく、単なる成金であり守銭奴だ。著者は住民不在の政治が良くないと言うが、もっと問題なのは、この国に貴族が不在になったことだ。金儲け主義者の成金が国政を動かすようになれば、連中は如何に財産をまもるかしか考えぬ。あらゆるものを金銭に換算して考えるようになる。金儲け至上主義が世を支配する。金儲けを阻むものは悪ものになってしまう。

もうそろそろ、金よりも重要なものを政に持ち込んでもいいのではないか? 「市民と進める」と題してあるが、金儲け主義者の市民が何人集まろうとこの国の政はよくはならない。人間が群れるとろくな事が起こらない。況や小人をや。国民が貴族の誇りを持たねば、この国は亡国となる。貴族、大人、士、君子、ニーチェの超人もこの部類に入るだろう。人間は市場原理や競争原理を哲学や理想の力で乗り越えて来たはずである。哲学のないバカのアメリカが美徳を破壊し、日本までが追従している。嘆かわしい限りである。

オススメ度: レベル3.5
FC2 Blog Ranking

テーマ : これでいいのか日本 - ジャンル : 政治・経済

【編集】 |  19:28 |  思想 社会科学  | TB(0)  | CM(0) | Top↑

コメントを投稿する

URL
コメント
パスワード  編集・削除するのに必要
非公開  管理者だけにコメントを表示
 

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック


 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。