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2008.03/04(Tue)

幸福なギター考 

最近、よく考える。幸福になれるギターとはなんだろうか? どんなギターを所有すれば幸福になれるのであろうか?

ギターを弾ける時間は永遠ではない。我々の命には限りがあるのだ。だから、どうせギターを弾くならば、少しでも幸福になれるギターを弾いた方が価値ある時間を過ごせると思う。人生が豊になると思う。では、そのようなギターとは、どのようなギターなのであろうか。ちなみにここでは万人にとって幸福なギターを論じない。あくまで、個人にとって幸福なギターである。認識論的に他人の感性を我々は知覚できない。つまり、他人がどれだけそのギターを否定したところで、それが本心かどうか検証するすべはないのである。

では、幸福の要因として考えつくものを挙げる。
①弾きやすさ 触覚的要素
②音色・音質 聴覚的要素
③形・色・モデル・見た目 視覚的要素
④ブランド・アーティストモデル・オールド・金額 精神的要素
⑤一目惚れ 直感的要素

他にもあるだろうが、以下順に検討してゆく。

①弾きやすさ 触覚的要素
弾きやすさは重要だ。弾いていて疲れる、ストレスがたまるギターはよろしくない。音色は好みが多く別れるところであるが、弾きやすさは、ある一定の基準がある。しかし、必ずしも弾きやすい=幸福とは言えない。むしろ、幸福なギターに弾きやすさが含まれる割合は意外と少ないかも知れない。


②音色・音質 聴覚的要素
人によってはこれを一番に持ってくるかも知れない。さて、ここで新たな命題が生まれる。ギターをなぜ弾くのかである。ギターとは果たして音を出すための道具に過ぎないのであろうか? もし、音を出すことがギターの究極目的であるとするならば、「音色・音質」を以て、幸福なギターの定義が可能かも知れない。

以前、余は斯くのごとく論じた。すなわち「音楽を奏でるためにギターが存在するのではない。ギターを奏でるために音楽が存在するのだ」と。この理屈は多くのギターフリークをして納得せしめるに足ると信じる。我々はギターが弾きたいのである。ギターを弾くために音楽を使っているのである。もし、逆が真理になってしまうと到底受け入れられないものになる。音楽を奏でるためにギターがあるのだとしたら。音楽を最高に奏でられるギターが幸福のギターになってしまう。否、最高の音楽を奏でることが目的なのだから、ギターでなくとも良いことになってしまう。自分が弾く必要がなくなってしまう。……この論は間違っている。なぜなら我々は弾きたいのだ。聴いているだけの音楽はまた別ものなのである。自分で弾くことに意義を見いだしているのである。故に、音楽は必ず副次的なものでなければならない。

話を戻す。あくまで弾くことに意義があるのであり、聴くことは副次的なものに過ぎない。となってくると、音質・音色だけで、幸福を定義してしまうことに無理が生じないだろうか。全く意図しない狂った音が鳴るギターは問題だが、自分の理想の音が鳴れば良いと言うわけではない。それならば、理想の音が鳴るCDを聴いていれば良いのだから。弾いたときに理想の音が鳴ればいいか? だとすると、音色のみで語れなくなってしまう。


③形・色・モデル・見た目 視覚的要素
どんなに弾きやすくても、どんなに音がよくても、見た目が気に入らないギターは所有していて決して幸福ではないだろう。ひょっとしたら、最も重要なファクターかもしれない。何故に最も重要か? 美人は三日で飽きるという。余はこの飽きと言うものを重視したい。もちろん、真なる幸福なギターは決して飽きることはないのであるが、残念ながら我々はそれを検証できない。我々には寿命がある。つまり、我々の寿命のうちだけの幸福なギターであっても、我々はそれを真に幸福なギターと解さざるを得ないのである。故に、幸福なギターにとって、この死というものは、くせ者でもあり、同時に福音でもあるのだ。飽きる前に死ねばいいのだ。逆にブスは三日で慣れると言う。慣れたものに真の喜びを感じるであろうか。感じてさらに愛着が湧くかも知れぬが、少なくとも、それまでは幸福なギターではあり得ない。


④ブランド・アーティストモデル・オールド・金額 精神的要素
議論があると思う。ある人はブランド・オールド・金額に一切拘泥しないかもしれない。ここで言う金額とは、所持金の範囲という意味を指さない。金額それ自体が所有の満足度に貢献する意味の金額である。すなわち、金額とはステータスだと思っていただきたい。

さて、ここでは話を分かりやすくするために、2本の寸分違わぬギターが存在すると仮定する。違うのは、一本がギブソンであり、もう一本がヒュンダイということだけだ。それ以外は色も形も音色も操作性もすべて一緒。

やはり、ここで問題になってくるのはブランドイメージである。「ギブソンはすでに百本持っている」とかではなしに、最初の幸福なギターを探していたら、果たしてヒュンダイを買うであろうか? 自動車でも作ってろよ、という感じにならないだろうか? 例え同じ品質であっても、ブランド名の響き、会社の歴史、また、他人がどのようにそのメーカーを認識しているかで以て、ブランド名はギター本体にではなく、我々の心に影響を及ぼす。ブランドには個人的影響と社会的影響がある。個人的影響とは、自分がそのブランドに対して持っているイメージである。社会的影響とは、自分がそのブランドを手にしていることによって、社会からどのような評価を受けるかを考慮したイメージである。オールドやアーティストモデルは言うに及ばず、色や形や音色についてさえ、程度の差こそあれ、同じ影響力が伴っている。


⑤一目惚れ 直感的要素
潜在意識に直接働きかける非理性的な現象。吊されている一本のギターに目がいって、忘れられなくなったことはないだろうか。一目惚れは感性的、直感的な面で幸福なギターの条件をクリアーしている。後は、実際弾いてみて、操作性や音質に問題がなければ、最も幸福なギターに近いかも知れない。

結局、幸福とは、我々が如何に幸福だと思えるかである。幸福だと思えるためには、それだけの幸福の要因を、我々の思考の源泉である感性に注入出来なくてはならない。それが出来るギターが幸福なギターなのである。この世には叡智的真理と、感性的真理の二種類があるといわれる。叡智的真理とは数学の解答のようなもので、「故に正しい」と万人が共通して理解できるもの。感性的真理とは、例えば恋をするようなもので、自分がある対象に恋しているのは間違いないが、万人にとっては全く理解し得ないもの。幸福なギターとは感性的真理を叡智的真理で補完するようなものではないかと思えてきた。それでこそ、永続した真の幸福なギターが可能なのではあるまいか。


挙げようと思えば、もっと他の項目も出来るだろうが、この五つにまとめさせてもらった。所有して我々に幸福をもたらすギターとはこの五つが複雑に絡み合って生まれるものではないだろうか。この中のどれか一つだけがあればいいと言うものではない。この五つ全てが独立しており、全ての数値が最高のギター、それが余の考える幸福なギターである。

あと、番外として、分相応なものを人は好むらしい。この前、「付き合っている男女がお互いに冷める事柄ランキング」に、「家柄が立派」というのがあった。ギターでも、同じことがいえるかも知れない。腕に自信のないものが、いくら素晴らしいギターだからといって、PRSなどはなかなか持ちたがらないかも知れない。持っても落ち着かないし、持て余すことになるかも知れない。我ら大和民族は物神論的感性を多分に持ち合わせた民族である。余も、自分の楽器に名前をつけて、擬人化して扱う友人を何人か知っている。こういったものは、分相応の楽器を持たないと、楽器に対して劣等感を抱いてしまう。当然、幸福のギターたり得ない。初学者は注意されたし。

ロマンチシズムの酔いを覚まして、現実に購入を考えたとき、ふと、風林火山に出てきた、甘利虎泰の台詞を思い出した。

比較なしで何が最高かを論じるのは少々無理がある。仮にヴィンテージの59年製ギブソン・レスポール・スタンダードの最高のコンディションのものを理想のギターとする。しかし、金がない。レスポールを止めてメロディメーカーにするか? オールドを止めて現行レスポールを買うか? それとも、全く別のものにするか?

甘利が勘助に厳しい口調で言うのだ。
「戦とは、何を守り、何を失うかだ」
ギターの購入にも同じことが言える。これは、金が無限にあっても言えることではなかろうか。至言なるかな。

また、現実を思うとき、悲しいかな、一本だけで全てをカバーするギターを追い求めるよりも、気に入ったギターを数本、もしくは数十本所有し、気分によって弾き分けた方が、ギターを奏でる時間を有意義に過ごすことに貢献するような気がする。

さて、縷々論じてきたわけであるが、こう思われた諸賢は多かろう。「絶対的幸福なギターなど存在しない」それは事実かも知れない。しかし、我々は幸福なギターを探す楽しみを知っている。幸福なギターを探す楽しみに積極性を加えることが、我々のギターライフの一層の充実を図るに足ると、余は確信するものである。

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テーマ : ギター - ジャンル : 音楽

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