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2008.04/23(Wed)

脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ 

脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ
(2005/07/30)
V・S・ラマチャンドラン

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脳の構造や動作を検証することによって、人間とはなんであるのか、という哲学的な問に答えようとする書。最近流行りである。著者であるラマチャンドランは神経科学者。

著者は過去300年間で、人類のものの考え方が変わった大転換期が三度あったと書いている。
一つ目は、コペルニクスが発見した、地球が宇宙を漂う土くれに過ぎないこと。
二つ目がダーウィン革命で、人間は神の子などではなく、毛のない猿の子どもだということ。
三つ目はフロイトによる、理性の批判、我々は無意識に支配されているということ。脳の解明はこれらに次ぐ、人類の思考の革命だという。

ちょっと補足する。これらの意識改革だけを取り上げるのは些か偏りがある。余の専門は政治なので、その観点から見ると、宗教改革、産業革命、フランス革命、これらの思想がまた、重要な役割を果たしていると考える。というのも、まさに、ニワトリタマゴの話の如く、お互いがお互いに干渉し合って、思想的発展が見られるのである。つまり、仮に第四の発見があるとすれば、同時に、第四の社会的土壌も出来上がる。それが、科学技術の発展か、グローバル現象だか知らないが。また、脳科学の発見が顕著におこれば、それに追随して大いなる社会変革があると思われる。いずれにしても楽しみだ。

著者はカプグラ症候群の患者を例にとり、脳の仕組みを解説する。カプグラ症候群の患者は、自分の母親を見て、「この人は母にそっくりですが母じゃありません」という。これはどういうことか? 我々は物を見たときに、ある情動が喚起され、物を識別する。熊をみたら恐ろしいという情動が起こり逃げる。剥製の熊を見たときは、熊そっくりであるが襲ってくる心配がないので逃げない。また、襲ってくる心配が起きないことから剥製だと認識する。症候群の患者は母親を見ても、この情動が喚起されない。だから、形は母親にそっくりだが、情動が喚起されないので、母親ではないと結論をだすわけである。音声だけの電話であると母親と認識するのである。

アートフルな脳という章も面白い。ラットに長方形と正方形を区別する訓練を施す。長方形の時にチーズを与えるようにする。その後、ラットに、最初の長方形と、それよりもより細長い長方形を見せると、より長い長方形をラットは好むのだという。我々が芸術に求めるある種の象徴性を突いているのではあるまいか。

第五章の新たな哲学という項では、ヒステリーを例に挙げる。ヒステリーは精神病だと長らく思われていた。MRIで検査しても脳に全く異常が見られないからである。しかし、PETやfMRIなどの最新機器を使うと脳の異常が見つかった。この世に精神的な物など何一つないという。正式な用語では中立的一元論という。

自由意志などは存在しなく、単なる事後の合理化に過ぎないという。歩いていたら、突然犬が襲ってきて飛び退くということがある。同時に驚く。我々の驚きというのは突発的なものであり、認識よりも前に起こる。それと同じで、全ての思考は認識以前に起こっているのではあるまいか?

著者はいう。「いずれは脳機能画像によって、被告が計画的に殺人を犯したのか、過失致死だったのかを判定できる日がくるかも知れません」この辺の学問は今後の展開が楽しみな限りである。

オススメ度: レベル4.5
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《参考・関連図書》
脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)
(1999/08)
V.S. ラマチャンドラン、サンドラ ブレイクスリー 他

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テーマ : 科学・医療・心理 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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