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2008.08/11(Mon)

なぜ国家は衰亡するのか 

なぜ国家は衰亡するのか (PHP新書)なぜ国家は衰亡するのか (PHP新書)
(1998/10)
中西 輝政

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本書は国家の衰退の原因をといた上で、各国の国体を論じる。

トインビーの文明論を持ち出し、国家の衰亡は盛者必衰ではない、という。必ず滅んでしまう国家というものはないのである。全ての文明が同じように衰退するわけではない。また、外敵が侵入してきて滅ぶという例もない。国家、文明が衰退する原因は、自らの内にある虚ろなもの、であるという。

虚ろなものとはなにか。もっとも効率的で、健全な社会は、少数の指導者と、それに従う大衆の存在が欠かせない。指導者は大衆をコントロールするために、「わかりやすいもの」を創りだし、大衆を導く。しかし、時が経つにつれて、大衆をコントロールするための名目に、指導者自身が陥ることがある。こうなると文明は衰退する。まさに昭和初期の日本である。明治の政治家は、「日本は偉大な国である」と大衆を鼓舞していた。当然、国の欠点をよく理解した上で、「日本は完璧だ」と喧伝する。しかし、昭和になると、指導者自身がこの言葉を信じるようになる。完璧でないものを見て、完璧だ信じてしまう。

国に対して誇りと自信を持つのは構わないが、それはあくまで大衆でなければならない。指導者がそのようでは冷徹な判断など不可能。まぁ、今の日本では、指導者も大衆も、両方とも、国家に対し誇りも自信も持ってはいないだろう。余が恐れるのは、日本が「もう駄目だ……orz病」に罹ってしまっていることだと思う。これは、充分すぎる衰亡の原因。

日本が今大変なのは、一定程度成長した社会が衰退するという事態を、初めて経験しているからである。他の先進国は衰退の経験があるので、それほど慌てないのであるが、日本はこの世の終わりのようになってしまっている。ここで判断を誤ると、本当に日本が終わりかねない。


本書では「衰退とは単に経済が衰えることではない。むしろ、経済の活力を支えるより深い社会要因に生じる問題が衰退の原因である場合が追い」と説く。衰退とは精神の問題なのである。国家国民の精神の持ちようで、衰退か興隆かが決まると言っても過言ではなかろう。

日本は二院制の意味がない。ローマの元老院は人民の意を受けた民会の世論に基づく政治がつくり出す暴走をチェックするためにあった。イギリス、アメリカの上院もそういう役割を担っている。日本の貴族院も名目上はそのためにあった。しかし、今の参議院は民意丸出しで良しとしている。馬鹿である。

アメリカがどのように生き残っているか。アメリカは普遍をつくり出した。もともと、フロンティアを求めて西へ膨張していき、アメリカ大陸に行き詰まると、海を越えてハワイやフィリピンを占領した。しかし、国際世論の中、軍事力での支配が困難になると、経済で支配しようとする。しかし、経済も駄目になってきた。そこで、アメリカが考え出したのが、「民主主義」である。民主化の名の下に、世界に覇を唱えようとした。この理念はなるべく、抽象的で、実現困難なほど良いとされている。

日本の改革が全て上手く行かないのは、哲学的な理念がないからである。サッチャー・レーガン政権には哲学があった。福祉国家は経済的な面だけでなく、社会的に駄目だということである。「人に迷惑をかけない限りなんでも許される」社会は、価値観の多様化を生み出し、規範意識の混乱、犯罪の増加、家族の崩壊に繋がるという。保守革命とはなにか。無限の自由ではなく、規律を持つことによって人間の精神と社会は本来の活力を取り戻すという思想的一大転換を行った。だが、日本の場合は、思想の転換は行わずに、システムだけを小さな政府にしようとしている。上手く行くはずがない。貧乏になった人たちが自分で気付くのを待っているのだろうか? だとしたら、国家たり得ない国である。

議会は知恵の伝承の場であるはずだと、諸外国では思われている。統治の流儀というのを、議会を通して伝承していく。しかし、日本には一切そういう思想がない。民意の垂れ流しがよいとされている。この国はお先真っ暗である。

以上、様々な視点から国家、とくに、日本の衰亡の可能性が説かれている。みんながお先真っ暗だと思い、手当をしなければ、さらにお先は真っ暗になり、ついには崖から転落することになる。余はそれを避けたい。日本が煩う「もう駄目だ……orz病」である。この国が覇を唱えられるようにせねばならない。諦めたら負けだ。今こそ国家は一丸とならなくてはいけない。それも、大衆の自発的なものであることが望ましい。その基盤を政治家は創らねばならない。政治がもっとも難しい時期に来ている。あの馬鹿どもでつとまるか……?

オススメ度: レベル4.5
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《参考・関連図書》

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テーマ : 憂国 - ジャンル : 政治・経済

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