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2009.06/20(Sat)

権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 

権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 (888))権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 (888))
(1974/01)
なだ いなだ

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本書は1974年に上梓されたもの。名著なので版を重ね現代に至っている。本書の構成は、精神科医である著者と高校生のダイアローグである。まだ、思慮の浅い高校生が自分の意見や質問を著者に投げかけ、著者がその質問に答え、高校生の思想を補充していくという流れだ。もちろん、この高校生は著者が作った架空の人物であると思われる。

高校生は現代は権威が失われた時代だと主張する。すなわち、親の権威、教師の権威、政治家の権威。政治不信や学校や家庭が荒れる等の現代の不都合はこれらの権威が失われたことが原因である。ゆえに、それぞれが権威を取り戻せば、これらの不都合は解消される。

だが、著者は権威が回復するだけでは現代の諸問題は解決しないという。そのために、権威の構成要因を考察する。

本書の核心部分は権威の所在を明らかにしているところだと思う。生徒は先生に権威を感じる。しかし、同僚の先生が、その先生に対し、生徒と同じように権威を感じているかと言えば、そのようなことはあり得ない。ほかにも、我々は「辞書」は正しいと思う。しかし、辞書の編纂者、もしくは編纂者以上に知識を持ったものは、辞書に権威を感じない。

と言うことは、権威とは権威を持っているといわれる物の中にではなく、権威を感じるものの内部にあるものが投射されたものであると言える。

では、話を戻し、教師や親や政治家に権威がなくなったからといって、いわゆる権威そのものが消えたのかと言えば、著者はNOと答える。現在の権威は、○○賞とか、○○推薦とか、全米ナンバーワンとか、Googleの一番上に掲載されるとか様々な形に変容して我々を支配している。目の前の権威が消えたせいで、漠然とした曖昧な権威が勃興している。

そもそも、人はなぜ権威に従ってきたのか。誰しも生まれたときは誰かの保護が必要である。そこに、権威の源泉がある。不安を権威に頼り埋め合わせするという習性を人類は幼少の時に学習してしまっている。大人になってもそれが尾を引いて、自分の知恵ではなく、何らかの権威に頼り不安を埋める。

しかし、これは合理的な面もある。すべてのものを均しく疑っていたら、生活がままならない。ある程度権威を信頼して、進んで権威に騙されて生きていく方が楽なのだ。そこに、悪意ある権威が入り込む隙間があるとしても。また、すべての権威が我々を騙しているわけではない。

最近は政治不信から市民参加などという輩が増えている。食品の不安、マンションの耐震の不安、様々な不安が現代を覆っている。それら一つ一つを自分で確認出来るかと言えば、それは不可能だ。それらの不安は、結局の所、新しい権威に生まれ変わってもらうしかないのではないだろうか。例えば、政治不信によって市民参加と騒ぐ団体に新しい権威が移り、食品や耐震偽装をチェックする機関に権威が移る。この繰り返しではないだろうか。余はむしろ、この繰り返しが停止してしまう時のほうが恐ろしく思う。我々がなんのきなしに満員電車に乗れるのも、日本人という人種を信頼しているからである。信頼も権威と同じく、我々の内側から投射されたものに過ぎない。しかし、その信頼がなくなった世の中はまさに乱世である。逐一人々を疑っていなければならないなど、面倒至極である。著者は理想の社会を調和と呼んでいるが、調和は信頼に置き換えることも出来ると思う。

オススメ度: レベル5
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《参考・関連図書》

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