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2012.03/15(Thu)

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
(2011/11/19)
與那覇 潤

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挑戦的なタイトルであるが、意味はこうだ。何をさして中国かというと、宋代以降の中国の国家形式を指す。宋代以降の中国の国家形式とは、①貴族政治の廃止、②自由貿易、③夜警国家である。

中国は宋代から、貴族が政治を牛耳るのをやめ、皇帝の官僚、即ち科挙に受かったものが政治を行うという、19世紀ヨーロッパをして驚愕せしめた公正性を実現した。イギリスの官僚制は中国を範としたらしい。

そして、自由貿易である。民は移動の自由、経済活動の自由を手に入れた。モンゴル帝国が世界帝国だと言うが、モンゴル帝国は自由経済圏を広げ、安全の変わりに間接税を徴収する国だ。「誰に断って商売してんだゴラ」の世界版である。

夜警国家とは、国家は治安、外交、戦争などのまさに国家でしかできないことを行う小さな政府。別の言い方をすると、その受益者を特定できない業務のみを行うということである。

これの反対が日本である。
日本は階級社会であり政治は武士の世襲制で行われてきた。農家は農家、商家は商家として代々受け継がれるものであった。戦前は大政翼賛となり、戦後は企業社会、終身雇用となり、会社で一家をなしていた。しかし、いまは中国化に向かっているので、なかなか世襲制という社会保障を感じにくいが。

世襲制なので、当然移動の自由、公益の自由はない。

日本は身分制という福祉政策を行っていた。「あんたは百姓だけど、百姓やっている限りその土地は永遠にあんたのものだ」もちろん、売り買いは出来ない。このシステムは明治維新によって破棄されることになるが。

中国人はよく協力な宗族ネットワークを持っていると言われる。ユダヤ人も強力なユダヤネットワークを持っている。それは、公的機関による社会保障がないため、生き延びるには宗族のネットワークを頼るしかなくなった結果だ。日本も3.11のあと、結婚率が増えて、絆だとか言い始めたが、まさに公的救済の限界を人的ネットワークに置き換えたのだろう。

中国がどうして中国化したかというのも色々ある。中国のような広大な平原は、洪水や旱魃や飛蝗によって簡単に生活地域が消滅する。日本のように一所懸命とはいかないのである。

また、どうして明治維新で日本が西欧化に成功し、中国が失敗したかというのも面白い。日本はペリーが来て大砲ぶっ放してあっという間に開国した。しかし中国はアヘン戦争でボロ負けしたあと70年間も清朝がつづいた。この違いはなんだろうか。

日本にとって西欧は魅力的だったが、中国にとって、西欧式の体制などは、とうの昔に実現していたことなので、西欧化の必要性を感じなかったという分析だ。清朝は歴とした郡県制の中央集権国家で、自由貿易が行われている。科挙に受かって官僚になる手だてもある。西欧の自由が魅力として映らなかった。日本は封建制で日本全土に小国家が散らばっている。移動の自由も公益の自由もない。西欧の自由が魅力的に映ったのであろう。

いわゆる近代国家的要素である、法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義、がなぜ生まれたか? 西欧が遅れた地域だからだと説明する。西欧は最後まで貴族社会が残った地域だ。法の下の平等、基本的人権、議会制民主主義はすべてもともと貴族の権利である。これが、庶民に拡大されたに過ぎない。

よく、西欧は下からの民主主義であり、日本は上からの民主主義だと言われる。西欧は産業化の過程で小金持ちが生まれ、自分たちの代表を議会へ送り込む。だから、金持ちしか投票権がない。そして、徐々に権利が奪われていき、最後は女性に権利が奪われる。日本では権利が分け与えられたと考えるが、実際は、権利を分捕っていったのである。だから、下からの民主主義なのだ。日本では「権利=与えられるもの」と考えるが、西欧では「権利=分捕って金に換えるもの」である。

もちろん、世界が中国化のワード一つで説明が付くほど単純ではない。それも、こういったおおざっぱな分析は対局を掴むのに役立つ。本書は中国のことを知るにも、我が国を知るにも有益である。


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