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2012.04/13(Fri)

社会科学における人間 

社会科学における人間 (岩波新書)社会科学における人間 (岩波新書)
(1977/06/20)
大塚 久雄

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大塚史学などといわれるものを作り出した、昭和の大学者、大塚久雄の著作。大塚久雄は小室直樹の著作でも度々引用されている。それで興味は持っていたのだが、真面目に読んだのは始めてである。

内容はほとんどプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の解説である。余も以前このブログで書評したが、プロ倫は大変難しい書物ですんなりわかるものではない。この書を読み、改めてプロ倫の言っていることがわかった。誤読していたこともわかった。プロ倫を読む人はぜひ併読されたし。

以前批評したプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
http://tamohito.blog89.fc2.com/blog-entry-197.html

以下はこの書を読んで気づいたヒントである。

偶像崇拝の議論が出てくる。偶像とは、人間が自分たちで作って自分たちで拝んでいるものだ。人間が作り出したものにもかかわらず、偶像は神となる。人間がつくったもの以上の何物かになるのだ。資本主義もそのようなもので、例えば、株券などの何ら実質的価値がないもを人々は上がった下がったで一喜一憂する。つまり、人間は自分たちで作ったものに、自分たちが支配される構図が出来上がるのだ。

よくある誤解のひとつに、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神という題名から、プロテスタンティズムの倫理=資本主義の精神というのがある。が、本書ではこれは全くの別物であるという。むしろ、この表題のミソは、プロテスタンティズムの倫理からかけはなれた資本主義の精神が生まれるというところに重きがおかれている。しかし、この変容に関しては記述が薄いと思われる。確かに理由はわかるのだが。プロテスタンティズムの倫理から世俗的禁欲がうまれ、世俗的禁欲が合理性を増大させ計画性をたかめ、極限まで資本の最大化をはかるというのは納得できるが、一度金儲けがはじまると、宗教的倫理が吹っ飛び金儲けに邁進するようになるという変容がちゃんと説明されていない気がする。本書では徐々に変わってきたというが、その理由が重要だ。おそらく宗教的生活自体が失われたことが要因だと思われる。

プロ倫もこの部分の記述が薄い。もっとも重要なところであるのに。ウェーバーはこの部分で大変重要な指摘をしている。曰く、
「プロテスタンティズムの倫理はどうしても富を生み出す。しかし、富が生み出されると、プロテスタンティズムの倫理は資本主義に変容し、プロテスタンティズムの倫理が失われることになる。プロテスタンティズムの倫理を実践することは、回り回ってプロテスタンティズムの倫理を失わせることになる」

世俗的禁欲は行動的禁欲とも言い換えられる。行動的禁欲とは目的の為に一切をなげうち、目的に邁進すること。そのなかに、いかにすれば目的を達成できるか、合理的計画的な分析が含まれている。これこそが世俗的禁欲なのである。しかし、宗教性が失われると、利潤の追求に世俗的禁欲が使われるようになる。これが資本主義の精神である。

さらに、プロテスタンティズムの倫理下での商売は、少しでも良いものを適正な価格で売ることに意味があった。儲けが目的ではなく、人が欲しがるものを適正な価格で売ることが目的だ。それが隣人愛の実践だからである。そうするとなにが起きるかというと、適当なものをインチキな価格で売っている商人が駆逐される。適性価格が広まるのだ。すると、合理的投資が可能なになり、資本主義を一層おし進めるという仕組みだ。

プロ倫の話はこう結ばれる。宗教的倫理から、これほど営利至上主義の資本主義が生まれるなど信じられないと皆さんは思うかもしれない。しかし、マルクスレーニン主義が中国大陸に渡り中共のようなマルクスレーニン主義とは似て非なるものになった実例をみれば、宗教的倫理が資本主義になるのもうなづけるのではないか、と。

大塚はこの講演で宗教的文化の相違が人間的思考の相違を生み、経済活動の方法の相違を生む、と言いたいようだが、それはおまけ程度にしかなっていない。

とにかく、この書だけを読んでも意味不明なので、プロ倫と資本論とできればロビンソン物語を読むことをお勧めする。


オススメ度: レベル4
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《参考・関連図書》

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